角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

難しい日本語。

2014年11月11日 | 実演日記
小学校や中学校の社会科学習は角館でよく見かける光景です。今日は地元中川小学校の子どもたちが訪ねてくれました。大人でも珍しく思う草履実演ですから、子どもにしたらそれは興味津々。『これはなんですか?』『みんなひとりでつくったの?』『むずかしくないですか?』、矢継ぎ早にいろんな質問が飛び込んできます。

引率の先生がひとまず子どもたちを制止し、『では順番に質問してくださ~い』の声にまず女の子が手を挙げました。少し緊張した面持ちで訊くのは、『いつまでしごとをしますか?』。とっさには言葉が詰まる質問ですね。七十歳くらいまでと真面目に答えるのもなんですから、『まだまだずーっと働きますよ~』と言いました。すると引率の先生が、『あのぅ、お店は何時までかを訊いたと思うんですけどぉ…』。
日本語はとても難しいと思います。

実演席にほど近いベンチに腰を下ろし、おじさま二人が世間話をしていました。耳に入ってきた言葉が、『だいぶ考えだんだども、柱にした。鈴木柱なっ』。
人の名前のようですから、お孫さんか誰かの名付け親になったのでしょうか。それにしても「柱くん」とは少々奇抜な名前です。続く『なかなか軽快だどっ』の言葉でその謎が解けました。おじさまが言っていたのは「スズキハスラー」、車のことなんですね。

難しい日本語に訛りが加わると、理解するのに骨が折れます。亀山エリーさんはたいしたものですよ。
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父と母の違い。

2014年11月10日 | 実演日記




今日の草履は、仙北市内の女性のオーダー草履です。遠く離れた故郷に暮らす母上様への誕生日プレゼントで、配色はお任せいただきました。



ベース生地は、鮮やかに色付いた山々を夕陽が照らす如く朱に輝いています。母上様のお歳は間もなく八十歳といいますから、朱の温かさが年齢を重ねた人間の懐深い優しさに通ずると思いました。



組み合わせの緑には、「折鶴」「花束」がプリントされています。花束はお誕生日を祝うに相応しく、また折鶴は母上様のご健康を願うものです。度々は帰省できない距離に暮らす母上様を想う女性の心を、少しでも草履がお伝えできたら幸いと存じます。

実演席で母娘ペアさんとの出会いは日常です。普段はお母さんが娘さんの足を案じてプレゼントするケースが多いのですが、この逆パターンの典型例が
「母の日」と「誕生日」なんですね。いずれにしても母と娘の結びつきはそれぞれの年齢と無関係ですよ。その強さは男の私に計り知れないものがありますね。

以前のブログでもお伝えの通り、「父の日」の需要は「母の日」の数分の一しかありません。今日の草履を引き取りに見えた女性も、『お母さんの体はやっぱり心配ですね。お父さんはあんまり気にならないんですけど…』。
さてわが家の子どもは娘三人のみ。自分のことは自分で心配するようにしましょうか。
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のろし花火の是非。

2014年11月08日 | 地域の話




今日の草履は、茨城県結城市の女性のオーダー草履です。定番配色の写真サンプルを悩みながらご覧でしたから、ひとまずお好きな色をお訊ねしてみました。すると『紫色が大好きなの~』。現在手持ちの紫素材でお任せしていただいたのがこちらになります。気に入ってくださることを願いながら、本日の便で出発しました。明日届きますよ~(^^)/

小学校の運動会を始めとして、当地ではイベントのたびに「のろし花火」が打ち上げられます。ドーンという音を聞くと、『あれっ、今日はなにがあるんだろ?』といった具合ですね。少し前の地元紙「読者の声」に、この音をうるさいとする記事が載りました。夜勤のあるお仕事をしているらしく、朝方床に着くとき気に障るといった内容です。

その数日後、同じ新聞のコラム欄にこの件を取り上げていました。今でも花火の音を聞くとワクワクする人がいる一方、生活の多様化により風物詩が必ずしも歓迎されない時代になったというような趣旨と記憶しています。
そして今日の朝刊でまたこの件が掲載されていました。今度はイベント主催者側のコメントも載った比較的大きな記事です。短期間に三度も関連記事を載せるのですから、最初の読者投稿に対する反応が大きかったんじゃないでしょうか。

世の中どんなものにも両面性があります。長所と短所は紙一重とも云えるでしょうか。ですから「のろし花火」ひとつでも、それぞれの立場で可否は当然あるでしょうね。ただちょっと思ったのは、ずっと昔から行われてきた風習に対する抗議なのですから、それなりの被害や迷惑があったはずです。それが私には理解できないんですよ。一年に数度、イベントのある朝だけ鳴る二発か三発の花火音が、それほど耐えられないものでしょうか。

私はここまでの人生で、言いたいことを我慢しなかったほうだと思います。少数意見を多数決だけでねじ伏せるのも好みません。けれども多くの人の「善し」が私の些細な我慢で叶うなら、そのときは一切言葉にしない自信もまた持っているつもりです。世の中の大部分はそういう暮らし方をしていると思うのですが…。
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ご主人の対応。

2014年11月07日 | 実演日記
ご夫婦旅との出会いは日常にあります。角館草履を気に入ってくださるのは、どちらかといえば奥様に多いでしょうか。現品にしてもオーダーにしても配色選びに迷った奥様が、『ねぇ、どっちがいいと思う?』とご主人へ訊ねるケースがままあります。このときご主人の対応が大きく二つに分かれるんですね。

まずAタイプが、『お前が履くんだから自分で選べばいいよ』と突き放すタイプです。すると奥様は結果を見越していたかのように、怒りもせずひとり淡々と選ぶものですね。
そしてBタイプが、『お前にはこっちが似合うんじゃない!?』と積極参加するタイプです。こちらのタイプに接したとき、私は嬉しいというより感心しますね。本当に似合うと思っているのかどうかは別として、きちんと反応するのが素晴らしいと思うんです。
ただしご主人が勧めた配色を奥様が選ばなかったとき、ご主人に漂う悲壮感は並みじゃありませんけどね。

さて自分はどうだろうかと考えてみました。結婚以来23年間を思い起こして気づいたことがあります。これまでそういう場面が一度もありませんでしたぁ(^_^;)
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疑わない風土。

2014年11月05日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き[四阡六百円]
オーダー草履作りに励む合間に、新柄をひとつ編んでみました。ブルー基調の小花プリントがとても愛らしいと思います。布地の仕入先でシーチング(無地)のメーカーが変更になったとかで、このたび「青」が加わりました。初めての青は爽やかに見えますね。
ベースの小花プリントが少量しかありませんでしたので、「今日の草履」は現品限りで終了です。

東京からお越しのおじさま二人旅。うちのお一人が角館草履を気に入ってくださりオーダーとなりました。アメリカ暮らしの経験が長いおじさまが気に入ってくださったのは、草履だけではなく西宮家そのもののようです。朝一度お立ち寄りになり、その後お昼ごはんに北蔵レストランを訪れ、食後もまた時間たっぷり敷地内を歩かれたご様子。一日に複数回お顔を合わせると、なんとなく古くからの知人のような気になるのが不思議ですね。

おじさまがおっしゃるのは、『文庫蔵を見ましたけど、あれだけの貴重品を簡単に置いているのが秋田らしいですね。アメリカならありえないし、東京だって心配ですよ』。
つまりセキュリティーの甘さを指摘されたわけですが、おじさまはむしろそれが嬉しいと言います。「人を見たら泥棒と思え」じゃないですけど、世知辛い疑心に満ちた現代とはいささか別世界を感じられたのでしょう。

今の世の中ですから、一定のセキュリティーは必要です。うまい話は疑ってかかるのも大事です。けれども住んでいる人々がみな大らかで、昼ならカギをかけず外出するのが当たり前の田舎は、むしろ大切に遺されるべき姿ではないかとも思うんですね。
ときに新聞に載る「おれおれ詐欺」の被害者が、いかにも人の好さそうな田舎の高齢者だったりすると、無性に腹が立つわけです。
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秋田から石垣島へ。

2014年11月04日 | 実演日記
『あっ、いたいた~』と言いながら実演席に駆け寄るおばさま。お二人の女性は一見してお母さんと娘さんです。お母さんとは初対面でない気はしながら、最初の言葉ですぐに思い出しました。『石垣島へまた草履を送ってあげたいと思って…』。
今年5月18日のブログにご登場の大仙市大曲のおばさまでありました。そしてご一緒は、予想通り石垣島へ嫁いだ娘さんだったんですね。

この春から角館草履のご愛用者となった石垣島のお義母さんは、これまで休まず履いてくださっているとのこと。そんなに喜んでくれるなら洗い替え用にまた送ってあげたいと、お里帰り中の娘さんとお二人でお訪ねでした。『どうせだから3足送ってもらおうかな!』とお母さん。さすがに娘さんは『えっ、そんなにっ!?』と言っていましたが、実母のお義母さんに対する気持ちが嬉しいのでしょう、配色選びは率先してましたね。

南国に暮らし始めた娘さんのお顔は、秋田人とは思えないほど健康的に日焼けしていました。今日のところは石垣島の様子を聞かせていただくことが叶いませんでしたので、いつの日かお義母さん共々お訪ねいただきたいと願っています。
昨日のブログで朝ドラのエリーさんに触れたところでしたが、外国ではないものの秋田から石垣島もきっとドラマがあるでしょう。南国生活がお幸せでありますように、私はお義母さんが履く草履をしっかり編み上げてお届けしたいと思います。
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高視聴率の要因。

2014年11月03日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き[四阡八百円]
男女を色で分ける時代ではありませんが、紺ベースでまとめた草履はさらに性別を問いません。また年代も関係しませんね。男性でも女性でも、若年層も中高年も紺系がお好きであれば気に入っていただける配色と思います。「今日の草履」はすでに販売済みですが、あと数足編める布材料があります。現在のオーダー草履が落ち着き次第、展示品としてまた編みたいと思っています。

朝ドラ「マッサン」の視聴率が好調のようです。舞台が広島から大阪に移って画面から遠のいているのが、マッサンの母親役「泉ピン子さん」。スタートから短期間の登場ながら、高視聴率の要因はピン子さんの演技という話がありました。マッサンがスコットランドから連れて来たエリーに対し、これでもかというほど姑根性をむき出しにする演技が高い評価を得ているんですね。

朝ドラヒロインに初めて外国人が登用されました。製作スタッフの気掛かりは、視聴者が外国人ヒロインをすんなり受け入れてくれるかどうかだったそうです。まず一般論として外国人ヒロインでは、その人間性にシンパシーを感じにくいのではないかと考えたわけですね。そこへピン子さんの演技がモノをいいます。嫁姑問題は人類永遠のテーマですから、こっぴどく嫁いびりを見せられた視聴者に、自然と「エリーびいき」が生まれたという分析でした。

富山県からお越しのご夫婦旅。奥様が試し履きで気に入ってくださりオーダーとなりました。そこでご主人へ訊くのが、『お義母さんの分も注文していく?』。奥様の立場からすると、姑さんの分を忘れたというわけにはいかないのでしょう。するとご主人が、『要らないよ、素直に履けばいいけど、また腹が立つだけだって…』。奥様は若干の粘りを見せたものの、あえなくご主人の言葉に従うこととなりました。

こうしたご家庭が珍しいとはとても思えません。マッサンの視聴率がそれを証明しているのでしょう。
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今年もあと二か月です。

2014年11月01日 | 実演日記




今日の草履は、千葉県山武郡からお越しくださった女性のオーダー草履です。ちょうど30cm草履に同じ配色の展示品があって、女性はその色をとても気に入ってくださいました。こうして編みあがると、茶色は決してシブいだけではありません。きっとお洒落に履きこなしてくれるでしょう。明日の便で出発します、すぐに履いてくださいね~(^^)/

今日から十一月がスタートしました。と言うことは、今年も残り二か月しかありません。トップページの実演スケジュールカレンダーも、最終月まで表示されるようになりました。
そのトップページが若干の模様替えです。「温故知新」の文字を、先ごろ似顔絵marikoさんに描いてもらった色紙に替えました。これでまたグッと手作り感が表現されましたね。

そしてもうひとつ、「創作履物 角館草履」のfacebookページを表示させてあります。「千葉清美」の個人名で始めてから一年余り、まだまだ不慣れな点はあるのですが、そろそろ商いとしても広く告知してみようかと思った次第です。ときにはこのブログと同じ内容の投稿もあろうかと思いますが、基本的にはすみ分けを考えています。ブログ共々facebookもどうぞ宜しくお願いいたします。

さて今年もあと二か月、いわゆる観光シーズンに至っては二週間くらいのものでしょう。現在のオーダー草履が編みあがった後は、また彩り豊かな草履をブログとfacebookでご紹介して参ります。
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