角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

嬉しい踏ん張りどころ。

2015年11月06日 | 実演日記
角館草履のご愛用者がその後、プレゼント用にオーダーをくださるケースは日常にあります。数ある贈り物シーンの中でも「誕生日プレゼント」が突出しているでしょうか。現在オーダーをいただいていて未納品の中にも、誕生日プレゼントが複数です。
今さらですが誕生日プレゼントというのは、お誕生日を迎える方に対して贈るものです。それが今朝のオーダーは、心温まる「誕生日プレゼント」でした。

二年ほど前から角館草履を履いてくださっている青年が、今朝一番にお訪ねです。『草履を二つ頼みたいんですけど、両親なんです。オレの誕生日に、両親へ贈りたいんですよねぇ』。その意味はお察しの通り、この世に自分がいることへの感謝にほかなりません。
「自分の誕生日は両親へ感謝する日」という言葉が確かにあります。でも心で想うばかりでなく言葉で、あるいは品物で表現できる人はそう多くないんじゃないでしょうか。自身を振り返ってもそうですし、これだけ誕生日プレゼントのオーダーがある中で、このたびが初めての経験だと思います。

彼はきっと、自身の現在にある程度の満足感を持っているのでしょう。まだ三十代ですから達成感ではないものの、日々の仕事や生活にやりがいを感じているんでしょうね。そんな中でふと両親への感謝を思いついたとしたら、私としては応援しないわけにはいきません。誕生日までの納期はあと僅か、草履職人の嬉しい踏ん張りどころであります(^^)
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2 コメント

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㈱わらび座造園 (山田みき)
2015-11-08 09:58:01
素敵な若者!懐かしい思い出があります。8人家族の我が家広島実家では、父が誕生日に子供たち全員〔6人)にプレゼントをする習慣がありました。年子の6人〔笑〕貧しく小遣いもなく、おやつも無く、そんな子ども時代のキラキラした思い出。一人一人の個性に合わせプレゼントを準備してくれた主賓の父さんの幸せそうな顔が蘇りました。そして夫々の誕生日は主賓と両親以外の子供たち出演の人形劇〔笑)脚本配役小道具稽古全て子供だけでやっていました。それって当たり前に思っていた昔〔笑)。心を言葉に!心を形に!愛の表現ですね。
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言葉の要らない贈り物 (草履職人)
2015-11-08 17:32:02
みきさん

そのようなご家庭を初めて聞きました!素晴らしい環境と
いいますか、面白い演出と言ったほうがいいのかも
しれません。まるで家庭がわらび座じゃないですか!?(笑)

日本人は言葉で表すのが苦手な民族です。ましてや夫婦、
親子だったらなおさらでしょう。でもこちらの青年のように
品物を贈るとしたら、下手な言葉はむしろ要らないのかも
しれませんね。

ちなみにこちらの青年、みきさんもよくご存じの方です(^^)
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