角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

北東北仲間。

2010年01月19日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡円〕
赤基調の半纏プリントをベースに、合わせは紺の絣風プリントです。
男性でも女性でもいけるように24cmにしてみました。赤と紺の相性は、使う赤によってむしろ男性色になりますね。「今日の草履」もまさにそんな配色と思います。

当地もようやく暖気に入りました。午前から青空が広がり気温も上がりだすと、ホッとした気分になりますよ。昨日までは冷蔵庫の中より低い気温でしたから、シロクマとは違う生身の人間にはなかなかキツいものがありました。
そして明日の気温がまた高いですね。最高予想が8℃で天気は雨だそうです。これまで積もった雪がこの気温と雨でどうなるか、ちょっと怖い大寒になりそうです。

青森県弘前市からお越しのおじさまひとり旅。東京に暮らす息子さんと娘さんを訪ねた帰り道、途中下車で角館へ降り立ったそうです。『車では何度も通ってるんだけど、角館を歩くのははじめてなんですよ。イイ機会だから、内陸鉄道で鷹巣へ出て弘前へ帰ります』。
これまでのブログでときに登場する「途中下車」。角館が目的地ではない旅で、『ちょっと寄ってみようかなっ』がこうしたタイプですね。私はむしろこちらのほうに「縁」を感じます。

おじさまがふらりと草履コーナーに立ち止まると、ふと思い出したように、『あれっ、このあいだテレビに出てませんでしたか?』。先のブログでご紹介した「週刊ことばマガジン」をご覧だったようです。おじさまは『いや~、これもなにかの縁ですねぇ』と、ご自分用に草履をお買い上げくださいました。

おじさまとのおしゃべりは、北東北の社会事情に及びました。
『子どもが少ないって言ったって、それは結婚してない人が多すぎるからですよ。近所の保育園に来るお母さんは、3人も子どもを連れてる人が何人もいますよ』。
この話題は1月7日のブログで私が書いた話、そのものです。たった数日で同じ話をする方と出逢うなんていうのも、また縁を感じますね。おじさまは、『私なんかになんの力もないんですけどね、結婚したい人同士が出逢える場を作るのは、ちょっと関心があるんですよ』。

さらに北東北の職場事情です。
『息子も娘も東京の学校へ出したら、もう帰って来ませんよ。まぁ、帰って来たところで仕事も少ないですしねぇ』。
先ごろの新聞に、都道府県別の平均給与が掲載されていました。青森県と秋田県は僅かの差で、共に下から数えて何番目といった感じです。首都圏でも仕事に就けない人が溢れているのに、われわれ北東北は推して知るべしでしょう。

私が、『東京でいっぱい稼いで、定年を迎えたら弘前に戻って東京のお金を使ってもらうっていうのはどうです?』と言うと、『はははっ、さぁて嫁さんが付いて来るかどうかでしょ』。
ふたり大笑いしながらおしゃべりしていましたが、実際深刻な問題と思いますよ。わが家の娘たちはひとまず地元での進学を目指してますが、その後仕事に就けるかは別問題ですからね。

お帰り際、『いや~、長居してしまいましたね。私も縁は大事にするほうですから、次はカミさんも連れて来ますよっ』。
真冬の縁は、深刻な話題と裏腹に楽しいひとときでした。

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