角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

車椅子と草履。

2008年09月23日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
桜うさぎピンクをベースに、エンジ基調の花柄プリントとエンジ無地の三色使いです。少し久しぶりに三色を合わせてみましたが、可愛い草履に仕上がったと思います。

「今日の草履」は、中学一年生の女の子がお買い上げです。こちらの女の子、実は私の同期生の娘さんで、二年ほど前から履いているお母さんの草履をたびたび横取りしていたんだそうです。お母さんが『そんたに欲しがったら見に行ってみよっ』ということでお連れでした。
小学生や中学生でも、こうした「和」に関心があるのは嬉しいことですね。

茨城県取手市からお越しのお若いカップル、女性が草履を気に入ってくださいました。ご自分用の草履を選んだところで、なにやらしばし考えています。そしてもうひとつの草履を手に取った女性は、『おばあちゃんに買って行こうと思って…』。
私が『飾らないで、すぐ履いてくださいって言ってくださいねっ』と言うと、女性から意外な言葉を聞かされました。

『おばあちゃん、脳梗塞で半身が利かなくなっちゃって、車椅子で生活してるんです。でもこの草履だったら椅子に座ってても気持ちイイかなぁと思って…』。
笑顔で、且つ真剣に話す女性のお顔を見ながら、私も少し熱くなりました。しかも女性が選んだおばあちゃんの草履は、ピンク色がとても可愛い配色です。

『おばあちゃんに見せたいので、一緒に写真撮ってもイイですかっ?』と言われたので、『喜んでっ!』と応えました。
おばあちゃんと孫娘の愛に、草履職人もホンの少しだけ仲間入り出来た気分ですね。

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