角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

奥様の説得やいかに!?

2007年09月23日 | 実演日記
いよいよブログ再開と思いきや、今度はデジカメの具合がおかしくなってしまいました。そこで、「今日の草履」はひとまずお休みしての再開といたします。

ネット不通の23日間、ブログ更新は出来ずとも、日々多くの方々との出逢いだけは確実にありました。ましてこの期間には角館のお祭りもあったわけですから、話題に事欠くことなどありません。
そんな23日間の中で、今日は“面白い人”ナンバーワンをご紹介します。

9月の初旬、比較的午後の早い時刻でした。ひとりの男性が入って見え、テレビで流していた昨年のお祭りビデオに目を留めました。『へぇ~、これがここのお祭りですかぁ~?』と男性、言葉の端々に関西弁が混じっています。実にラフないでたちでしたから、『旅行ですか?』と尋ねてみると、『はいっ、お向かいの旅館に一週間滞在してますぅ。少し早くにリタイヤしましてなぁ、今は好きな所で気ままに遊んでますのやぁ!』。

京都府ご出身で東京在住のこちらの男性は、勤務していた東京の会社を定年を待たず退職したんだそうです。角館の旅も今回が初めてではなく、好きな場所のひとつとおっしゃっていました。一週間の滞在中、この町の歴史から現在も残る名所旧跡を歩き回り、ちょっとした“角館通”となっていました。

そんな男性が、角館のお祭りに関心を持たないわけがありません。私にお祭りの説明を求めながら、とうとうビデオが終わるまでの二時間を実演ベンチで過ごしました。今年のお祭りまであと数日を残すだけでしたから、『お祭りを見ないで帰るんですか?』と尋ねると、『いやぁ~、見たいのはやまやまなんですがねぇ、その前に帰る予定なんですわぁ。』
さすがに「お祭り説明付き」の二時間を申し訳なく思ったのか、お帰りの際にご夫婦分の草履をオーダーくださいました。

その翌日、またこちらの男性が私の元を訪れ、『旅館のお上に無理を言いましてねぇ、お祭りまで部屋を貸してもらえることになったんですわぁ!』。そのときの男性の笑顔と言ったら、まさにこぼれんばかりでしたね。
それにしても、角館に縁がなくとも角館のお祭りファンは確かにいます。昨年のお祭りで十分実感したはずなのに、また今年もそんな方と出逢って再認識できました。

実は話はこれで終わりません。お祭り二日目の9月8日、夕方近くに米蔵の前にいると、こちらの男性が通りかかりました。『どうです?実際のお祭りを見て』とお声を掛けると、『いやぁ、面白いですわっ!』。『今晩からもっと面白くなりますからね』と言うと、『いや実はですね、今日これから新幹線で帰ることにしたんです』。
あれだけお祭りを楽しみにして、いよいよこれからというときに帰るというのを不思議に尋ねてみると、『実は、これからうちのカミさんを説得するんですわっ。僕はもう心に決めたんですけどね、角館に住むことを』。

あちゃー、こちらの男性、終の棲家を角館に決めちゃったんです。滞在延期を決めてすぐ、空き家の物件探しをしていたという男性は、すでにめぼしいところの大家さんに相談済みでした。とりあえず賃貸契約をして、一冬暮らしてみるんだそうです。奥様が、『こんな冬の厳しいとこでは暮らせない』と判断したら諦め、『なんとかいけそう』と判断したら賃貸から売買に変更するという相談です。

奥様の説得材料に、『もう角館にはともだちがいっぱいいるんだよ』を使うと言ってました。そのともだちのひとりには、もちろん角館の草履職人が入っているそうです。
さて、説得の結末やいかに!?

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2 コメント

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お久しぶりで~す (いづき)
2007-09-23 23:10:26
こんばんは!
角館のお祭、行きましたよ~♪
そんでもって、ようやくブログにアップしました!
まったく何も知らない状態で行ったのですが、地元の方がお祭について詳しく教えてくださったり、「観光のぶっつけがあるから見ていきな~、ここでやるからな~」と親切に教えてくださったり。
角館って良いトコ~
だから終の棲家にしちゃう方が出るんでしょうか。
秋田県の人口増加、万歳!

草履職人さんもお祭のときはお忙しそうでしたね。
柱のかげから、そっと覗いておりました…。
(声をかけるタイミングを失ったともいう)
お疲れ様でした
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来てたんだ! (草履職人)
2007-09-24 08:38:51
おっ、久しぶりだね~!

お祭り来てたんだねっ、忙しいたって永遠に続くわけじゃないから、声掛けてくれれば良かったのに。

そう、角館の人って案外お人好しが多いんだよ。曳山に着いてる若衆たちは、観光客っていうかギャラリーに目が行かないけど、その分現役を退いた“年寄りたち”は若い頃出来なかった“お祭りPR”に積極的だよね。

みんなこの町が好きで、暮らしたり帰ってきたりするわけだから、そういう気風を感じて『暮らしてみたい』って考える人が現れるのかもしれないね。

今度遊びに来るときは、必ず声掛けてね~!

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