角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

信頼の日本製。

2012年02月25日 | 実演日記




今日の草履は、神奈川県横浜市にお住まいの女性からの、ご注文フォームによるオーダー草履です。2足のご注文のうち、「紫系おまかせ」がこちらになります。
気に入ってくださることを願って、明日の便で出発です。お楽しみにお待ちくださいね~。

どちらからお越しか聞きそびれてしまいましたが、明らかに県外からのご夫婦です。草履の健康効果をご説明すると、子ども用草履をお買い上げくださいました。配色選びをしながらご夫婦に訊ねられたのは、『子ども用はどこで作ってるんですか?』。

子ども用とミニ草履は、私のカミさんがひとりで編んでいます。ときに子ども用の特注オーダーは私が編むこともありますが、まずほとんどはカミさんの作品なんですね。ご夫婦にそのままをお伝えすると、『じゃあ間違いなく日本製ですねっ』。

実演をご覧のお客様からときに訊かれるのは、『そのイ草は国産なの?』。
熊本県八代産であることをご説明すると、お客様は一様に安堵の表情をされますね。素材のイ草を確認したい気持ちは分からなくもないのですが、編みあがった草履の産地を確認されたのは初めてかも知れません。

ご夫婦が続けて訊くのは、『樺細工で、値段が安くて同じものがいっぱいあるのは、やっぱり中国製なんでしょ?』。
実はご夫婦の“産地確認”は、樺細工から来ていたんです。西宮家を訪れる少し前、武家屋敷通りの樺細工伝承館に立ち寄られたそうです。

樺細工伝承館では伝統工芸士の称号を持つ職人さんが、交代制で実演を披露しています。今日の職人さんに言われたのは、『こうしてひとつひとつ手作りしていくんですよ』。
丹念に仕上げていく工程を目の当たりにした後、売店へと進むご夫婦。そこで見たものは、千円や二千円という価格で同じものが何個も並ぶ商品群だったわけです。

『さっきの職人さんのように、ひとつひとつ丹念に手作りしていたら、こんな値段のはずがない。しかも同じものが何個もあるのは、きっと輸入品だからじゃないのか』。ご夫婦はこう思ったんですね。

天地神明に誓って、角館で輸入品の樺細工が販売されたことはありません。過去に秋田市の業者が製造した事実はありますが、少なくとも角館でこれらが流通した話はないですね。
ご夫婦にご説明すると、それこそ安堵の表情をされましたよ。

現代の日本において、輸入品を完全に避けては生活が成り立たないでしょう。でも先のご夫婦のように、「日本製」を譲れないものも確かにあります。これだけ自国の製品を信頼しているのですから、TPPも参加したら…というのはちょっと履き違えですかね。
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