角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

孫娘の願い。

2013年12月23日 | 実演日記


今日の草履は、装飾用ミニ草履クリスマスバージョン[九百円]
緑と赤を組み合わせると、なんとなくクリスマス風に見えるものです。せっかくですからクリスマスシールを貼って、カミさんに8個作ってもらいました。おかげさまで今日までに7個が売れ、残り1個は明日のイヴに持ち越しとなっています。さて完売となりましょうか、楽しみであります。

辺りが暗くなり始めた夕方、一組のご家族がお越しでした。お母さんと女の子、そしておじいちゃんとおばあちゃんです。女の子は4、5歳でしょうか、おじいちゃんとおばあちゃんは70歳ほどとお見受けしました。
お母さんがミニ草履を見て『あらっ、可愛い!』とおっしゃるので、「トイレの神様 足の神様」のお話をすると、女の子がすぐさま『おじいちゃんに買ってあげたいっ!』。

近くにいたおじいちゃんは、『はははっ、まだそんな歳じゃないよ~』と一笑に付した感じです。お母さんもおばあちゃんもおじいちゃんに倣うように、『また今度にしようね』と言いながら米蔵の中へと歩を進めます。女の子の様子をふと見ると、そこに笑顔はありませんでした。

しばし米蔵の中をご覧のあと、また草履コーナー前を通過しお帰りの際、女の子だけがミニ草履で歩を止めました。気づいたお母さんが『どうしたの?』と訊ねると、女の子は小さな声で『おじいちゃんに買ってあげたい…』。
900円の売り上げが欲しいのではありません。私は心の中で願いましたよ。ここは女の子の気持ちを汲んでもらえないものかと。

すぐに老婆心との結論が出ました。おじいちゃんは、『そうかっ、ありがとう!』。
みなさんで配色選びとなり、女の子が選んだのが「今日の草履」と同じクリスマスバージョンです。御代を払うのはおばあちゃんなれど、そのお顔はこぼれんばかりの笑みでした。

朝から冷たい雪まじりの今日は、お客様の姿もほんとに少なかったです。本日の売り上げはこちらの900円のみ。でも私は大満足の一日であります。
今年の草履実演は残り二日間となりました。
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