角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

申年を前にサルに戻る。

2015年10月24日 | 実演日記
日々出会いのご縁を愉しむ草履実演ですが、ときに「これこそっ!」とお互いが思える出会いに恵まれます。
仙台市宮城野区からお越しのご夫婦旅。お見受けするところ、まず私と同年代でしょうか。ふと草履実演に目を留めると、「えっ!?」というようにいきなりお顔の変わるのが分かりました。まずいつものように角館草履の特徴と健康効果をご説明すると、お二方とも笑顔がどんどん増していきます。その理由はご主人の言葉で明らかとなりました。

『実は先月から足の治療に行ってるんですよ。今のお話、その病院の先生とおんなじなんです!』

足指の掴む力が必要と診断されたご主人は、医師から草履の効用を教えられたそうです。おそらくその後ご夫婦の中で、部屋履き草履を探す会話が日常にあったのでしょう。そんなときに角館草履と出会ったのですから、そりゃあお顔がみるみる変わるのも頷けます。それぞれお気に入りの配色でオーダーを賜りました。「楽しみにしてます~」の言葉はなによりの励みですね。

少し前にお会いした長崎県大村市のおばさまがおっしゃったのは、ときどき利用する温水プールでのお話です。水に濡れているプールサイドは怖いほどではないにしても、滑りそうな感じが確かにあるとのこと。子供ですら若干「恐る恐る」の歩き方をするのに、何もないかのようにスタスタ歩くのはお年寄りたち。水泳コーチにその点を訊いてみたら、『お年寄りって足指を掴む動作が自然と出来てるんですよね』が回答だったそうです。

角館草履のご愛用者であれば実感されていると思いますが、草履を履けば自ずと足指が掴む動作をします。足指の力が養われるのはもちろん、踵からドンと落ちる歩き方が矯正されます。これが滑りにくさを生むというのは、理屈に反しないのではないでしょうか。これから雪のシーズンを迎え、どうしたって歩行が危うくなります。それでも冬靴の中で足指がしっかり掴む動作をしていたなら、雪上の恐怖感がだいぶ違うと思うんですね。

足指を巧みに使う動物は「サル」です。来年の干支である申年を目前に、人の足も少しだけサルに戻るのは良いことだと思っています。
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2 コメント

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㈱わらび座造園 (山田みき)
2015-10-26 12:47:08
一年後とに右足、左足、腰、肩、、、と故障部が発生します〔笑)その度、先を考えての不安が過ぎるのですが、角館草履を履き始めて〔通販の宣伝みたい、笑)、何より足指、裏と全く意識しなかった部分を気遣う様になり、乱暴な動き、過労にまでなる仕事の仕方を止めました。これは大きな事でした。何歳まで”庭師”でいられるのか?けれどシルバースタッフを見ていると、その技や樹を見る目に惚れ惚れします。こんな人間、職人になりたい、、と思います。元気であれば、取りあえず後10年走りたい〔笑)。その側に”角館草履”を友に新たな人生を書き込めたら最高です。
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体との上手な付き合い (草履職人)
2015-10-26 17:56:15
みきさん

私も五十を過ぎて、これまでなかったことが体に起こります。
一日七時間、年320日余りも草履を編んでいるのですから、
そりゃあどこかが耐え切れなくなるでしょう。

でもこの生活を変えるなどは微塵も考えていませんから、
そうなればうまく付き合っていくしかないと思っています。
目指すは「死ぬまで草履職人」とはいえ、実際十年後は
分かりませんね(笑)
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