今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き[四阡六百円]
こちらも可愛らしく優しい配色です。お若い女性にお似合いと思いながら、お選びの女性は案外四十代くらいが多いんですね。もちろんそれで構わないと思います。編みあがって間もなく、六十代後半と思しきおばさまが悩みに悩んだ結果、「今日の草履」は選びませんでした。その理由は、『普段ピンクの服着てるから、草履もピンクだと頭がヘンって言われるわねっ』。ピンクの洋服は大丈夫なんですね。
メルヘンチックな平生地がこちらです。
GWが終わって初日、やはり散策の人影はずいぶん減りました。それでも県外から桜目当てにこの日を旅行日としたお客様は、それなりの人数に及ぶといいます。これは今年の桜まつり当初から気になっていたのですが、去年の満開日に照らしたお客様なんですね。長崎県からお越しのご夫婦旅も、『去年に合わせたのが失敗でしたよ。それにしても当たりませんなぁ』とご主人。言ってみれば「桜ざんねん旅~後編~」でしょうか。
仙台市からお越しのおばさま二人旅。桜がないのは承知の上で、『大勢の人が苦手だから、あたしたちは今日で良かったですよっ』。そうおっしゃる旅人も結構多いんですね。
お二人とも少ない在庫からお好きな配色をお選びくださいました。悩んだ結果「今日の草履」を選択しなかったのはこちらのおばさまです。それでも外反母趾を気にしていたおばさまは、角館草履との出会いをとても喜んでくださいました。桜がないことを「残念」ばかり言うのは、私たちも控えたほうが良さそうです。
先の長崎県からお越しのご夫婦も、定番配色①と②でお揃い草履をオーダーくださいました。最初ご主人は試し履きさえ遠慮されていたのが、しばらくおしゃべりしているとご自分から履きだしました。奥様が『お父さんの分も注文する?』と訊ねると、『そうだねぇ、話をしていたらこれも縁という気がしてきたよ』。
桜が散ったあとを「残念」と言えばそれまでですが、少しでも代わる何かに角館草履が役立ったなら、私は素直に喜びたいと思うんです。
桜満開の頃、フランスに暮らす日本人女性がお立ち寄りでした。外反母趾の痛みに悩む女性は、ある日病院を訪ねたそうです。そのとき医師に言われたのが、『たいしたことはないですね。もっとヒドい人がいっぱいいますよ』。
自分の足が心配で医師を訪ねたのですから、他の誰がどの程度の症状なのかなど関心はありません。女性が苦笑いしながら言うのは、『なんの慰めにもなりませんでしたよ』。
桜が散った角館で、たとえば「観られなかった人がいっぱいいますよ」と話したところで、お客様にはなんの慰めにもなりません。それよりも今の角館に出来る、最高のおもてなしでお迎えするのが良いと思うわけです。桜のあとの目に鮮やかな新緑は、まぎれもなく角館人自慢の景色であります。
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