角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

「戻る」喜び。

2011年10月19日 | 実演日記




今日の草履は、岩手県紫波郡にお住まいの女性からの、ご注文フォームによるオーダー草履です。
「紫系おまかせ」ながら、青紫がお好きとのことでした。モノクロとカラーの合成みたいで、なかなか面白い草履に仕上がったと思います。男性用の「紺系おまかせ」共々、本日の便で出発しました。間もなく到着しますよ~。

里の紅葉にはもう少しですが、栗駒山や八幡平といった山間部は今が真っ盛りのようです。今日も山歩きをされてきたお客様から、『とっても綺麗でしたぁ』の声が聞かれました。
朝から天気は上々、気温も20℃近くまで上がれば、散策のお客様にも笑顔が多いように感じますね。

つい先日、武家屋敷通りにお店を構えるご主人が西宮家を訪れ、『秋になって、お客さんが戻りつつあるっていう気がするなぁ』と言っていました。実は私もそれを感じていて、たとえば六月頃の悲壮さはなくなったと思っています。
「お客様が戻る」、今の角館にこれほど嬉しい言葉はないでしょう。

一昨日こちらもご注文フォームからのオーダーは、愛知県豊田市の男性です。草履職人へのメッセージ欄にあるのは、『四年ほど前に角館でこちらの草履を購入させて貰いましたが、やはり履き心地が良かったので戻ってきました』。
もしかしたら四年の間に、ほかの草履を履かれたのかもしれません。でも今また戻ってきてくれました。これは嬉しいことですよ。

先日のブログでも触れましたが、原発事故により避難されていた方々が、少しずつふるさとへ戻っているんですね。学校が再開されたなんて話題を見聞きすると、本当に良かったと思いますよ。まだまだ課題は山積なんでしょうが、平穏な生活に早く戻れることを祈ります。

角館にお客様が戻りつつあると言っても、もう十月も半ばを過ぎました。一ヵ月後には初雪が降っているでしょうし、二ヵ月後は白い世界でしょう。残り少ない今年の散策シーズンを、思う存分愉しんで欲しいものです。
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