角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

150年目の援軍。

2015年10月08日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き[四阡八百円]2016年元日から5,400円
こちらも秋の新柄で、辛子色基調の「花札プリント」となっています。私の記憶違いでなければ、日暮里繊維街から仕入れるようになって初めての柄だと思います。今では見ることも遊ぶこともなくなった花札ですが、「和」を表現するには重要なアイテムかもしれません。濃い色調が深まりゆく秋をイメージさせる「今日の草履」は、東京からお越しのおじさまがお持ち帰りくださいました。平生地はこちらになります。




長崎県大村市からお越しのおばさま二人旅。うちのおひとりは四十年前に角館を訪れたことがあるそうで、ずいぶん変わったことに感心されていました。四十年前は私が小学六年生。2㌔に渡るソメイヨシノが国の名勝として名高い、檜木内川の河川改修があった年です。当時は今ほど観光地化されておらず、桜の季節は地元民が大勢土手の下で弁当を広げているものでした。今よりだいぶ人口もいましたしね。

大村市は云わずと知れた角館との姉妹都市です。戊辰戦争の折、奥羽越列藩同盟を破棄し孤立した秋田藩を救うべく、新政府軍から援軍が派遣されてきました。その一つが長崎大村藩で、角館を宿舎としたご縁が今も続いています。おばさまたちもそこ辺りまではご存じでしたが、官軍墓地や浜田勤吾像までは詳細を知らずにおりました。西宮家のあとにその二ヵ所を巡ってみるとのことでしたから、また一つ角館の思い出になってくれたら嬉しいですね。

聞けば大村市は、長崎県の中で人口増加率がトップなんだそうです。空港が近いことと長崎市と違い土地が平坦なこと、さらに地価が比較的安いのが理由と話してくれました。秋田県に暮らしていて人口が増えるなんていうのは夢のような話ですよ。150年のときを経て、今度は人口増加の援軍が欲しいくらいですね。
コメント (2)
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