角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

灯台下暗し。

2010年06月06日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
オレンジ基調の洋柄プリントをベースに、合わせは明るいオレンジです。
甘くてすっぱい「柑橘系」を想わせる、明るい草履に仕上がりました。お若い女性がお選びになると思いますが、こういう配色こそ真実は分からないものです。どんな方がお持ち帰りになるのか、私も楽しみにしたいと思います。平生地はこちらです。




好天が続く角館ですが、昨日の雷雨には少々驚きました。土砂降りの雨が屋根を叩く音で、会話ができないほどです。今日は朝から好天が戻っていますが、お客様とのおしゃべりにも昨日の土砂降りが話題になりました。
今日からまた好天続きで、これからは夏日が予想されています。あまり暑いのは好きじゃないのですが、確かに草履が気持ちの良い季節は迎えましたね。

ひとりのおばさまが、何か探し物をしているかのように入って見えました。私の目の前にいた米蔵スタッフを見つけると、『あのぉ、これを探しているんですけどぉ…』。スタッフに見せたひょろ長い印刷物、それはまさに角館草履の中に入れてある帯です。スタッフが『あっ、これですね』と実演席を見ると、おばさまのお顔は驚きからすぐに笑顔に変わりました。
驚いたのは私も一緒です。私の目前で私を探している人を見ているんですからね。

盛岡市にお住まいのおばさまは、ご友人が角館草履のご愛用者なんですね。おばさまが自分も欲しいとなって、角館草履を探すための資料を持たされたそうです。「西宮家」という言葉が伝わっていれば話が早かったのでしょうが、角館草履の資料だけでは知らない地元民も多いでしょう。
ようやく角館草履に辿り着いたおばさまは、2足の草履を大事に抱えお帰りになりました。次回は迷わずいらしてくださいね~。

目の前にあるとは気づかず一生懸命探している。こういうことってよくありますよね。
20歳の頃ですから、もう30年近くも前になりますか。ひとり出張で東京は御徒町駅へ降り立ちました。目的地は上野松坂屋、物産展の仕事だったんですね。地理的情報を得てはいたものの、いざ駅に降りるとイメージが異なります。予測をつけてしばらく歩いたのですが、どうもそうしたデパートはありません。そこで目の前にあった八百屋さんだったか果物屋さんだったかのご主人に訊ねてみると、『ほらっ』と指を指しました。そう、上野松坂屋は私の左手に立っていたわけです。

最近私の身内に二人の病人が出てしまいました。それぞれ入院加療中です。病院を訪ねる回数が多いことで、必然的に日常が変わります。これまでのように6時閉店のあと帰宅して、すぐにパソコンに向かうことが出来なくなりました。ブログ更新が遅くなっているのもそんな事情なんですね。

身近に病人がいることで、日ごろの健康がしみじみ分かるものです。そして何気ない日常こそ幸せというのも分かります。
「灯台下暗し」は、探し物だけでなく人生にも当てはまりますね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする