角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

それぞれの「美しい」。

2007年01月21日 | 製作日記
今日の草履は、1月18日、福岡市西区にお住まいの奥様からの、お電話によるオーダー草履です。『紺地に赤を合わせて‥』がこちらになります。
秋田おばこ調の典型的な配色なんですが、これが私の草履の本流という気がします。美しい草履に仕上がってくれましたが、気に入ってくだされば嬉しいです。本日の便で出発しました。

こちらの奥様、昨年当地を旅行された折、西宮家で私といくらかおしゃべりしたんだそうです。そのときには時間がなくてお買い上げできなかったのを、その後ずーっと残念に思ってくれていたそうです。
『とっても美しい草履ということは憶えてたもんだから‥』と奥様、とても嬉しいお言葉でした。

草履実演路上ライブでは、観光施設の中より幾分解放的になるもんです。立ち止まるお客様に対しても、過剰な敬語は意図的に控え、「フレンドリー」な雰囲気作りを心がけています。

昨年の11月、はじめて武家屋敷通りで路上ライブを敢行したときのことです。ある奥様が、『うわぁ~、綺麗な草履ねぇ!』と言ってくださったので、とっさに『はいっ、綺麗な女性が履いてくれますから!』とお答えしました。さらに返されてきた言葉が、『あら~、じゃあ私はダメねぇ~』。
その後も何度かこうした会話がありました。ある奥様は『それじゃあ私が履かないといけないじゃない!』とおっしゃり、またある奥様は、『私に一番似合う美しい草履はどれ?』とおっしゃいます。

反応もそれぞれなら、お選びになる草履も実に様々です。趣味嗜好はそれぞれ違ったとしても、やはりこの「美しい」「綺麗」は日常に必要なんでしょうね。

総理大臣が「美しい日本」を提唱しています。それに対して評論家の方々は、『美しいの中身が分からん』とかなんとか言ってました。分からないのは当たり前です、「美しい」はそれぞれみんな違うんですから。

私は、100人それぞれが「美しい」と言ってくださる、100足の草履を目指します。

コメント (2)
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