やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

ヘレヴェッヘのマタイ!

2011-05-12 | 音楽を


YouTubeでヘレヴェッヘのマタイ受難曲を聴いた(見た)。

小生が少し検索したところでは、今、YouTubeではリヒター、コープマン、そしてロシアの演奏家たちにての全曲、小沢征爾で一部が見られます。

3時間前後の全曲を10分前後で投稿されてゐる断片を集めて2~3枚のDVDに作るのは滅法時間がかかりますが、これも見たさ一身で、休日の大半の時間を注いだ。

ほ~!と驚いた、期待のリヒターの演奏はとても無残な演奏で(かつてのヴィデオ用のものらしい)、リヒター自身の覇気のない指揮姿、とても下手なカメラアングル、オペラのやうに歌ってしまふソプラノの女性…、と残念至極、でした。
やはり、リヒターのマタイは、1958年録音の血の吹き出るやうな演奏に限るのかー
(その後の再録音も、いまひとつ、ゆゑ)。

コープマンおじさんの演奏は、いつもながらの元気な指揮ぶりですが、その割りに音楽が踊ってゐない。

ロシアのそれは、まだ聴いてゐない。

そして、鬼才ヘレヴェッヘの演奏。
久しぶりに、至極面白いマタイを聴きました。
確か、彼のCDでの演奏も話題になりましたがー。

小生の棚には、30種類ほどの演奏が色々なかたちでありますが(CD、LP、テープ)、そのなかでも異色の演奏になりました。

オリジナルをかなり意識したスタイルで、オーケストラの規模も小さく、純然たるソリストはエヴァンゲリストとイエスのみ。それ以外は、バックのコーラス部から随時歌ふといふ、オリジナルに近い手法。それがとても面白く、映画での脇役の妙を味はふ趣きです。
アルトはカウンターテナーで、この方がとても美しい声を出し、中性的な面白さを味はへる。

合唱は、きっと、気持ちよく歌ふことをきつく戒められてゐるのでせう、ややブツ切りの感がありますが、ヘレヴェッヘの指示をよく守ってゐます。

例へばクレンペラーのやうな、滔々とした音楽ではありませんが(クレンペラーの極遅の演奏だからこそ、終楽章の大団円では哭けてしまひますが)、現在のマタイのひとつのかたちではあるのでせう。

その後、全曲が一気にアップされてゐました。
興味のある方は、こちら、をー。