やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

『ブッカー・リトル』

2009-03-26 | 書棚のジャズアルバムから


ブッカー・リトルによる、名作アルバム『ブッカー・リトル』

50年近く前の、夭折したトランペッターの名作。
まったく、ずゐぶんと久しぶりに聴く。

LPでも、CDでも、このディスクの一曲目を聴くと、彼の天才を信じないわけにはゆかない。
奇しくも、リー・モーガンやフレディ・ハバードと同い年だったといふことですが、彼等とはまったく違ふ、今聴いても本当に新鮮に響く伸び伸びとした音色と、同時に萌芽し始めてゐた作曲能力の素晴しさ。

エリック・ドルフィと組んだ幾つかのディスクはありますが、小生は、どうも、ドルフィの演奏は余り好きではなく(「ラスト・デイト」以外は)、削除法でこのワンホーンのアルバムになってしまふ。

久しぶりに聴いたら、ベースのスコット・ラファロの天才ぶりに改めて驚いてしまった。20台半ばの彼等の音楽は、まったく、新しいジャズを創ってゆかうといふ気概に溢れてゐる。
そして、ともに(ひとりは病で、ひとりは事故で)、間もなくの死を迎へることを知ってゐる我々は、その清冽な音楽のままで遺されたこのアルバムを、彼等のよすがとしてしか聴けないその辛さに言葉を失ふ。