やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

ピーター・ゼルキンのバッハ

2007-12-04 | 音楽を


バッハのゴルトベルク変奏曲のディスクは、さう多くは持ってゐません。
チェンバロ盤では、レオンハルトとリヒターくらゐだらうか。
ピアノ盤では、グールドとケンプくらゐだったかー。
それらで、いつも、充分でした。

ピーター・ゼルキンのピアノのディスクを聴きました。
1994年の録音。
確か、当時、評判の高かった演奏です。

とても、よい演奏です。
出だしのアリアは、グールドのやうにきはめてゆっくりと始まり(当然のやうに、終楽章もゆっくりと終りー)、粒立ちのそろったピアノの音色とともに、軽やかに変奏が続いてゆく。
その45分ほどの時間に身をまかせることの、なんと至福のひと時かー。

天才的といはれたピーターですが、若い頃はメシアンや現代音楽への取り組みが多く、小生はほとんど聴いてゐません。
あるひは、きっと、余りにも偉大だったピアニスト、父ルドルフ・ゼルキンとの精神的な確執があったのかー。
(ルドルフ・ゼルキンも、小生の好きなピアニスト、です。
 あの、何と、朴訥としたシューベルト!
 あの、田舎の建具職人のやうな、無骨なモーツァルト!!)

それでも、その父が1991年に亡くなり、その数年後に録音されたこの素晴しいバッハは、ある意味、50歳を間近にした、ピーターの父への告別とたむけの演奏だったのかも知れません。