気になるミュージシャンのオリジナル・アルバムを全て揃えても、漏れてしまうのが
シングル・オンリーの曲である。アルバム収録曲でも尺が違ったりミックスが
違ったりするし、更にアルバム未収録のカップリング曲なんてのは、なかなか
編集盤に組み込まれないので厄介だ。
そんな時にありがたいのが「コンプリート・シングルス」というヤツである。
掲載写真はO.V. WRIGHTがBACK BEATとABCに残した全21枚のシングルの
両面を漏らさず収録した2枚組CD「TREASURED MOMENTS」。21枚の
シングルの両面を収録しているのに全41曲収録なのは、シングルに2回収録された
曲があるからで、コンプリートなのは間違いない。
内容は今更ではあるが、自信漲る歌唱とトラックの出来のどちらも素晴らしく、
O.V.の全盛期は正にこの時期であると言えるのではないだろうか。アルバム単位だと
HI移籍後の77年のアルバム「INTO SOMETHING」を回数多く聴いたので、
その刷り込みが強いのだが、個人的にはHIでのシングルはちょっとベタっとした
感じを強く持つので、BACK BEATでの録音の方に軍配を挙げる。
GOLD WAXに残したシングル(あの有名な『THAT'S HOW STRONG MY LOVE IS』)
は1枚のみで、これはP-VINEが世界に誇る組み物として世に送り出したボックスに
収録されたシングル集で聴くことができる。いみじくも、そのシングル集も「TREASURED MOMENTS」と題されていた。
HIに残された6枚のシングルの全ても「THE HI RECORDS SINGLE COLLECTION」
と題されたCDで聴くことができるので、この3枚があればソロでのシングル曲は
全て網羅できる。何だか嬉しい。(笑)
今回の2枚組CDは正に宝物と呼ぶに相応しい。一生聴き続けられるCDである。
>HIでのシングルはちょっとベタっとした感じを強く持つので
うまく表現されています。
おらも、HIのはきれいすぎるなあ、と思っていました。
アルバムのことを言えば、BACKBEATのジャケの厚さはDUKEのボビーブランドと同じでいなたく、
お世辞にもファイン・アートのものはありません。
(シングルは好きなデザインなんだけどな)
しかし、唄の方はバックの演奏も含めて肉じゃがのような出来になっているのです。
アル・グリーンを聴いている時はぴったりな感じなのですが、O.V.だとBACKBEAT時代を知ってしまった今となっては、どうしても比べてしまいます。
武骨な感じのダンボールって、いかにもアメリカ盤という
感じで、それも味なのかもしれませんね。