HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

SKIN AND BONE - case of BLUES

2008-07-10 21:12:51 | DAY BY DAY
いつの時代なのか(80年代なのか90年代なのか?)どんなシチュエーション
なのか(レコーディング中なのかツアー・リハーサルなのか?)はたまた
どの地での発言なのか見事に忘れたが、エリック・クラプトンのこんな発言を
読んだことがある。
「この国にはブルーズを演奏できるドラマーはいない。」
「この国」というのが正確かどうか心許ないが、何かイラついた気分の
クラプトンの発言である。

これを読んで私は、「これが私とブルーズとの境界線そのものである」と
思ったものだ。ブルーズって何だ?。ブルーズとはメインのギタリストや
ハーピストの自己満足が完了するまでソロを弾くことを許容することを指すのか?。
メインパフォーマーの感情の発露が長時間に及んだ時でも、ドラマーは
淡々とリズムを刻まねばならない。例え飽きてきても不用意にフィル・インを
多用したり、構成を変えるべくバス・ドラの打ち方を変えたりすれば
それはリズムの変化となり、約束されたリズムの中で成立する世界から
はみ出ることになる。気持ちよく長尺のソロを弾いている最中のギタリストの
逆鱗に触れるというわけである。
好きな人には長尺のソロは大歓迎だろうし、同じ曲でもいつもより
ソロが長ければ「この日は入魂のソロをきかせる」なんてブートレグ評がでる
くらいなのだが、私にはそういうのはトゥー・マッチである。

先のクラプトンの発言が私とブルーズの境界線であると書いたが、同時に
別のことも考えた。ギタリストが感情の赴くままにソロを弾く間、
何の遠慮もなしにドラマーもベーシストも自分の自己満足を追求したクリーム
というバンドはやはり凄かったということである。最後にはそれが解散の
原因になるものの、クラプトンは三竦みの戦いを許容していたのだから。
下記に私の「骨と皮」を形成する10枚のアルバムを挙げるが、そのうち
ジュニア・ウェルズは65年、アルバート・キングのアルバムは66~67年の
録音である。思えばそのすぐ後にあれだけブルーズの拡大解釈をやったと
いうのは、とんでもないバンドであったのだ。

ブルーズといっても時代や地域によって様々なスタイルがある。
正直なところ戦前ブルーズはそれほど好きではない。もっと時代が降りてきて
バンド編成になったほうが聴きやすく感じるのは仕方あるまい。
ストーンズ者なので、ブルーズといえばマディ・ウォーターズやロバート・
ジョンスンであった。勿論そういったアーティストのアルバムは洋楽を
聴き進めていくうちに自然と揃ってくる。しかし正直なところ早くそこから
抜け出したかった。ブルーズが格好いいのは解ったのだけど、いつまでも
マディとロバート・ジョンスンじゃ、頭の悪いストーンズ・ファンの典型の
ように思えて嫌だったのだ。

名前は知っていたが聴いたこともなかったライトニン・ホプキンスの
「MOJO HAND」をジャケ買いして道が開けたような気がした。
冒頭のタイトル曲が流れてきたとき、実は聴き覚えがあるということに
すぐさま頭が反応した。高校生のとき深夜にベスト・ヒットU.S.A.を見ていたら
番組の間に、当時の県下唯一の輸入盤店のC.M.を必ず目にした。
そのときのB.G.M.が「MOJO HAND」だったのだ。エレキでないのに破壊力
抜群のリズムと声が気になっていたので、思いがけずにその曲と再会した
時の興奮は今でも覚えている。

月日は流れ、膨大な量のロックを聴いてきた。
ブルーズ・マンの全盛期の録音はともかく、晩年の録音を聴くよりも
キャプテン・ビーフハートやジョン・スペンサーを聴くほうがよほどブルーズで
あると思うのだが、そういう物言いは「ブルーズ好き」には通用しないことを
思い知る月日の流れでもあった。

私の「骨と皮」を形成するアルバム10枚は下記の通り。
(ABC順)

01 BABY SCRATCH MY BACK / SLIM HARPO(掲載写真右)
02 ALONE...THE SPECIALITY SESSIONS 1948-1954 / JOHN LEE HOOKER
03 MOJO HAND / LIGHTNIN' HOPKINS(掲載写真左)
04 BORN UNDER A BAD SIGN / ALBERT KING
05 THE JUNGLE / B.B.KING
06 1956-1958 HIS COBRA RECORDINGS / OTIS RUSH
07 HATE TO SEE YOU GO / LITTLE WALTER
08 THE BEST OF MUDDY WATERS / MUDDY WATERS
09 HOODOO MAN BLUES / JUNIOR WELLS
10 HOWLIN WOLF / HOWLIN WOLF

マディのベスト盤というのは勿論チェスの「LP-1427」を指す。
ところで、B.B.キングと水谷孝の共通点とは何でしょう?。
答え:どちらも歌っている時はギターを弾かない。
お後がよろしいようで・・・。

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4 コメント

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Unknown (tapara)
2008-07-10 23:28:35
1980ごろか、来日したサニーランド・スリム(だったかな?)のライブを聴きに行って、途中で寝てしまった。 大音響のあまりの心地よさだったのかしら?

自分にとっての最強は、ベタですがマジック・サムの「West side soul」とフェントン・ロビンソンの「loan me a dime」のシングルのほう。
それに、カルビン・リーヴィとオーティス・ラッシュのコブラか。
うーん、ロバート・ナイトホークは外せない。

>キャプテン・ビーフハートやジョン・スペンサーを聴くほうがよほどブルーズであると思うのだが


ジョン・スペンサーという人はよく知らないけど、ここで言いたいことはよくわかる。
ザッパに感じるときもあった。
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Unknown (ハリー)
2008-07-12 12:21:13
taparaさん。

マジック・サムはいきなり、なんだかよくわからない
編集盤のようなものを買ったのですが、仰せの盤は
名盤の名に恥じないものだと思います。
2枚組のライブ盤も破壊力抜群。

フェントン・ロビンスン、件の曲にシングル・バージョンというのがあるのですね。収録アルバムは所持
しているのですが、気に留めておきます。

ロバート・ナイトホークは恥ずかしながら未聴なのです。これもいつかは聴かないといけませんね。
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おぉ~ (フレ)
2008-07-12 12:38:11
なるほど…、割とシカゴ、モダン系なんですねぇ…。いや、ライトニン・ホプキンスはまだまだ深みのある世界だと思ってまして、アルバムはあるもののなかなか制覇仕切れないアルバムです。うん、でもしっかりと聴かないと…。

あぁ…、やっぱりブルースが一番落ち着くんかなぁ…。
返信する
Unknown (ハリー)
2008-07-12 19:41:25
フレさん。

数えてみましたら、ライトニン・ホプキンスのアルバムを一番多く所持していました。といっても10枚
程度なんですけど。どの時期も外れがないというか
悪く言えば「どれも同じ」と取られそうですが、
私は好きです。

私にとって、まだまだ聴き進めないといけない
ジャンルなのですが、最近はどうも・・・。(笑)
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