HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

続・腰掛ける男

2008-06-16 22:06:19 | ROCK
72年にサム・パリーが発表した「IF SADNESS COULD SING」は英国音楽マニア
にはよく知られたアルバムである。アーゴというレーベルからたった1枚のみ
アルバムを出し(他にセッション参加のものが1枚ある)、表舞台から
姿を消したこと、よくニック・ドレイクと比較されるように内容が秀逸で
あること、何よりジャケットが素晴らしいこと、といったように様々な意味で
琴線を擽るのだ。オリジナルのアナログは当然高価でとても手が出る代物でない。

掲載写真は少々怪しい感じがするレーベル「SMALL TOWN」からCD化された
もので、このCD自体も今では見つけることは難しい。ジャケットの
「SMALL TOWN」のロゴがオリジナル盤の「ARGO」に似せている感じがするのが
「ま、いいか。」という気分にさせる。(笑)
憂いを帯びたボーカルは魅力的だし、ギターだけでなくハーモニカの演奏も
エモーショナルで基本的に弾き語りであるものの、ハードな側面とデリケートな
側面がうまく混ざり合った稀有なアルバムだと思う。
サム以外にもう一人のギタリストと、ベーシストが参加していてドラムレス
であるが、ドラムスの不在を不満に思う要素は何一つ無い。
サムの演奏かもう一人のギタリストの演奏かわからないが、器用に
ボトルネックを使う曲もある。それがスライドギターでなく、アルペジオ
だったりするところが英国フォークの香りを漂わせる。

ジャケット撮影はミック・ロック。流石に格好いいはずである。
シド・バレットの1STに匹敵する写真であるのは言うまでもないだろう。
全11曲、全ての音が心の奥深くに響く43分間を約束する。

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