HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

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早川義夫 / アメンボの歌

2005-09-14 21:37:57 | THIS SONG
97年に発表された早川義夫のシングル盤。
いきなりで何だがおそらく、熱心なファンには不人気な曲。

70年4月24日、岡林信康のコンサートで1曲披露したのを最後に
音楽活動から遠ざかっていた、早川が復帰するのは93年。
ジャックスはもちろん、最初のソロで傑作「かっこいいことは
なんてかっこ悪いんだろう」も含めて、すべて後追いの私は、
復帰に喜び、驚き、リリースされるアルバムやビデオを買い続け、
ライブ・テープも集め続けた。

しかし。今ひとつ何かふっきれなかった。それはもう、ファンに
あるまじき反応といわれても仕方ないのだが、「歌い方」が
好きになれなかったのだ。次々とつくられる新曲は過去のものと
比較しても見劣りしない曲が多いのは、すぐ了解した。
しかし、アルバムの半分は過去の曲のリメイクが収められ、
どうしてもオリジナル・テイクと比べてしまう。
ファンなら、今の歌なり声を尊重すべきであろうが、何しろ
相手は「ジャックス」である。どうしてもオリジナルを超えるとは
思えなかった。

そんな私の不満を吹き飛ばしたのがこの曲。復帰後の録音に
見られなかった、わかりやすいロックがそこにはあったのだが
熱心なファンは首をかしげた。作詞・作曲のいずれにも早川の
名前はないのだ。つまり、単純にこの曲では早川は「歌手」なのである。
楽器も演奏していないのだ。そこで、作者が問題になる。
私なんかは想像もつかなかったのだが、この曲は桑田佳祐によって
書かれ、編曲も桑田が手がけている。録音もビクター・スタジオ。
他人のつくったものに乗っかっただけのように見えるところが、
多くのファンが「なんで?」と思ったのも理解できる。

それでも、なかなかいい歌詞であると思う。なによりわかりやすく
世の中に対する苛立ちが伝わり、そこにいる歌の主人公と聞き手である
自分を簡単にだぶらせることができる。

「組織の都合で病んだなら 冥土の土産を積み立てようぜ」
「正義の味方のポッケには 賄賂の手形と殺しのライセンス」
ちょっときのきいた感じのものを抜き出してみたが、全体は
もっとやりきれないドロドロしたものが根底にある。

「夢のない、土地も無い街で 四畳半の海泳いで」
四畳半は「フォー・ジョー・ハーフ」と読むのだが、この読み方に
反応してしまうと、歳がバレるか、日本のロックに精通しているかの
どちらか、もしくは両方である。(笑)

外注の曲であるが、早川の歌唱も自然な感じで違和感なく、私は
ボーカリストとしての魅力すら感じてしまう。
しかし、やはり「企画モノ」だったのだろうか、ライブで演奏しているのを
私は聞いいたことがない。同時収録で早川自身の手になる
「嵐のキッス」は再三演奏されているというのに。
もはやこのシングルは廃盤で、復帰後の幾つかのアルバムも
カタログからはずされている。
このまま忘れ去られるのは、なんとももったいないと思うのだが・・。

この曲にはプロモーション・ビデオがある。
スタジオで桑田がギターを弾き、早川がピアノを弾きながら歌う単純な
ものであるが、意外な見所がある。リード・ギターのフレーズを
弾くシーンなのだが、ECになりきった桑田の姿がほほえましい。
ECファンにしてみれば「てやんでぇ」ってなもんでしょうけど、
私の中ではこの曲こそ「早川義夫」なのだ。






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4 コメント

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Unknown (TK)
2005-09-15 04:53:00
早川義夫が本屋からこの世界に復帰した時は衝撃でしたよね。なにしろ伝説のカルトでしたから。

期待してテレビに登場する彼を見たらまったく普通の人で、少し拍子抜けしたりね。

復帰してからの彼は熱心に聴く事もなく、このシングルも知りません。

周りの自分に対する期待を知りながら、自分が良いと思った桑田佳祐の曲を受け入れる、そういう柔軟な姿勢が偉大ですよね、早川さん復帰しての全体的な活動見ていてそういう柔軟性感じます。

桑田佳祐ですが昔からクラプトンの熱心なファンなんですよ。

私が初めてクラプトン観たのが75年2回目の来日。

当時桑田はオールナイトニッポンやっていて、たまたまクラプトンのライブ直後の放送聴いたんですよ。

同じ日のライブ行ったらしく、東京ではその日のみ演奏された「リトル・ウィング」を、アコギで永遠弾き続けてました。

オリジナルのイントロがこうで、今回はこんな感じで、てなふうにね。

同じようにクラプトンのファンだから桑田を好きになるかというと好きにはなれない。

良い人らしいですよね、でも嫌い(笑)早川さんのような柔軟な姿勢を持たない偏屈な俺。

でも昔カラオケボックスでよく歌った曲が「いとしのエリー」、いろいろな女の人と行っては名前変えて目見ながら歌いました。

ただし相方以外の人ね。

相方と行くと「ホワイト・ライオット」とか、あといろいろな曲13フロア・エレベーターズにしたりとかでした(笑)
返信する
Unknown (ハリー)
2005-09-15 21:06:03
ちなみにこのシングルのジャケ写真は、渋谷陽一

氏の撮影によるものです。雑誌「CUT」なんかで

さまざまな「カルチャー」を取り上げるようになった氏の趣味?というかブームの一環だったのでしょう。



カラオケ・・・・もう5年は行ってないですね。

働きだして間がないころは、上司にバーなんかに

つれていかれて、演歌まみれのその中で

「サルビアの花」を歌って怒られたことがあります。「そんじゃあ、カラオケのリストから外しとけよ、おらぁ~」と言ったか言わなかったかは

記憶が遠い・・・・。昔昔の「レーザー・カラオケ」の時代ですね。



もっぱら、ジュリーやショーケン、ブランキーなどをレパートリーにしていたのですが、サザンも

歌ったことがあります。ただ、「いなせなロコモーション」とか「C調言葉に御用心」とか昔の

歌しかしらず、今思えば馬鹿みたいなものです。



自分でいうのも何ですが、割とショーケンの

真似には自信があって、ショーケンを知らない人には引かれますが、知ってる人には大概好評で

それで調子に乗りすぎることもしばしば。



相方からは今でも時々リクエストされます。

「アキラ、起きろ!」と言ってみてって。



え~、相方とは一度もカラオケには行ったことは

ありません。まず、私の歌を聴きたくないと。(笑)、で、相方自身は「あんな貧弱なトラックで歌えるか」と。言ってくれますが、きっと下手なんでしょう。(笑)



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Unknown (TK)
2005-09-15 21:36:26
そうか~仕事でカラオケってのは大変だな、そういう経験ないんですよ。

自分で言うのもなんですが、目を見ながらの「いとしのエリー」かなりキモいですよね。

でも、いろいろな女の人に聞くとけっこう気持ちのよいものらしいですよ。

アルコール入って下心あると俺そんな事出来たんですよ。 今は出来ないし、やればキモい~とか、うぜ~とか言われるんでしょうね。 萩原さんは最近見ないけど、真夏頃は地元ステッキ持って歩き回ってましたよ。実は少し立ち話しました、印象悪く思ってたけど凄く謙虚な雰囲気になってました。早く復帰できればと素直に思えました。
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Unknown (ハリー)
2005-09-17 13:47:56
私は仕事を数回変わっているので、今の職場では

そんなことはないのですが。



3度目の職場での話。

とある一人の女からカラオケに誘われました。

「XXに誘われてるんだけど、一緒にきてくれないか」

というものだったのだが、何人かでワイワイと行くのか

と思ったら、待ち合わせ場所にはXXしかいない。

どうも、その子はXXと二人で行くのが嫌だったために

私を誘ったようで、これはなんとも盛り上がらない。



帰りの電車がその子と私が同じ方向だったこともあって

次の日のXXの私に対する間抜けな誤解や詮索が

面倒くさくて、二度と職場絡みでは遊びにいかない、

とまで思ったのですが、3ヵ月後にそこを辞めてしまい、

どっちの顔も見なくてよくなって、すっきりしたことまで

思い出しました。(笑)



ショーケン・・・。ドラマや映画はまだ無理かもしれませんが、こんなときだからこそじっくり時間をかけて

アルバムを作ってほしいものです。
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