HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

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追憶のブートレグ61・ACT16 / PHIL SPECTOR

2008-06-04 21:38:42 | ROCK
このブートレグはDVDミュージック・フォーマットという何だか
よくわからない仕組みで音が収録されている。
DVDプレーヤーで見ると静止画が曲ごとに変わるだけで、動画は一切無く
音声はチャプターがふられていて、曲やテイクを選んだりスキップしたり
することができる。CDプレーヤーでの再生は不能。
2枚のDVDに6時間全97曲が収録されている。全ての曲をCDに収録したら
5枚組になってしまうので、価格をさげるための処置なのか?。
CDより良い音で聴けるとの触れ込みであったが、私の耳では今ひとつ
判別不能であった。結局私はCDに変換して聴いているのだけど。(笑)

フィル・スペクターというと、まず「エコー」を想起する人が多いと思う。
私もそうなのだが、「エコー」でスペクターを捉えたくないという
勝手な思い込みがあるため意識的にそれをさけていて、私のブログで
記事を書くときも「大人数で演奏するガレージ・サウンドの延長」とか、
ポップス・ファンの気分をある意味逆撫でするようなことを書いてきた。
大人数で同じフレーズを演奏し、尚且つ数回のダビングを重ねることが
スペクター・サウンドにとって重要だとの思いがあるからだ。

とはいうものの、やっぱり「エコー」は深い。(笑)
スタジオ内でドラマーがスティックを叩いてカウントをとる音や、
果てはトーク・バックの声にも深いエコーがかかっていて、録音スタジオの
セッティングはどうなってたのかに思いを馳せると同時に、たまには
「やっぱりスペクター・サウンドはエコーだ」と言ってみたい気にもなる。

「BE MY BABY」「BABY I LOVE YOU」「SANTA CLAUS IS COMING TO TOWN」と
いった名曲がどんなふうに仕上がっていくのかがわかるのは面白さの
極みである。もちろん完成されて世に出たテイクこそベストというのは
間違いないのだが、スタジオ内のやりとりもそのまま収録されているのは
ブートレグならでは。ビーチ・ボーイズのスタジオ・セッションのように
すぐにカットされることもないので、聴いていて苛苛することもない。

私の目当ては「RIVER DEEP MOUNTAIN HIGH」のセッション。
ロネッツやクリスタルズにはない、ティナ・ターナーの迫力ある声に
負けないようにと思ったかどうかは知らないが、トラックの音圧が
圧倒的で尚且つロックよりのスピード感を持つこの曲が、完成する様を
聴くことが出来るなんて、夢のようである。ギャラだけ払ってアイク・
ターナーを完全排除したというのも凄い話だ。
同名のアルバムではアイクがプロデュースした曲とフィルがプロデュースした
曲の違いが如実にわかるのだが、A面とB面をわけるでもなく、
二人の製作した曲が混ざった曲順であるのを不思議に思っていたが
改めて聴きなおすとそれほど違和感がなかったのが意外であった。(笑)

DVDで音楽を聴く、しかもブートレグ。そんな例は今までなかったので
これも忘れられないブートレグとなった。

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2 コメント

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持っていました (hama)
2019-05-18 11:15:27
こんにちは
私もこのブートDVD持っていました。
西新宿のブラインドフェイスで買いました。
フィルスペクター音源はリマスターのたびにエコーというか壁が無くなりクリアーになっている気がします。
どの音がオリジナルなのかわかりませんが。
クリアーで音が分離しているのも・・・
返信する
過去形 (ハリー)
2019-05-20 21:15:03
hamaさん

こんばんは。ブラインドフェイスで売っていたのですか。
何だか意外です、というか自分が
これをどこで買ったのか思い出せません。(笑)

オリジナルのアナログ盤を聴いたことがないのですが
もしかしたらCDの音はこぎれいにまとまっているのかも
しれませんね。
返信する

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