もともと、この「YOU CAN DO ・・・」シリーズは、ロックを聴き始めた当初に女性ボーカル物を
排除していた自らの嗜好と度量の狭さを省みて、多少はキャパシティが増えた今、改めて聴いてみたり
本当は好きだった物を取り上げる意味で始めた企画である。そういう意味ではパット・ベネターは
微妙な位置にいる。
つまり、パット・ベネターのことを最初から好きだったか、今改めて聴いているのか、今ひとつ私の中で
整理できていないのだ。私がロックを聴き始めた頃、リアル・タイムで女性ロッカーとして認識した
最初の一人であることは事実だし、頻繁にラジオからヒット曲は流れてくるからシングル・カットされた曲は
大抵知っている。そして何より決定的に記憶に残っているのが80年から83年にかけて4年連続で
グラミー賞のベスト・ロック・ボーカル女性部門を制したということだ。これは、凄いことなのだろうが
私は逆に「女性ボーカルって、パットしかいないのか?。」というニュアンスの、ネガティブな印象を
パットにではなく、『女性ボーカル』に抱いてしまったのだ。
今の私なら、グラミー賞をとった曲やアルバムが優れているかどうかの判断は自分でするし、それ以前に
グラミーに興味が無いのでナンなのだが、10代の頃は「それはそれは権威のある賞」だと思っていたし、
ずっと一人の人間がそんな賞を獲り続けるなんて、他の女性ボーカルものにはロクなのが無いのか?と
思ったのだ。実に短絡的である。(笑)そして、次第にパット・ベネターへの興味も無くなっていった。
掲載写真はパット・ベネターが80年にリリースした2枚目のアルバム「CRIME OF PASSION」。
このアルバムは友人にカセット・テープに録音してもらって聴いていた。曲目を書いたメモくらいは
テープに挟んでくれていたが、まさかコンポーザーの名前までは書かないわけで、ここに収録されている
『WUTHERING HEIGHTS』がカバー曲であることに気付くのは、その4年後くらいであった。(笑)
こともあろうか、全収録曲中『WUTHERING HEIGHTS』を一番気に入ってしまい、それが後に
私の苦手なケイト・ブッシュの曲であると知った時はかなりのショックであった。ケイトの曲であると
知るまでに4年もかかったということから、如何に私が女性ボーカル物を排除し、聴いていなかったかが
わかるというものだが(笑)、これもケイトを見直す、いや、ちゃんと聴いてみようと思うきっかけになった
という意味で私の中では忘れられない思い出だ。
パットのバージョンはケイト・ブッシュ・カバーとして、というより最初から私が気に入った曲という
印象が強いのだが、今回のカバー・ソング100選から漏らすわけにはいかない。
ちなみにシングルとしてリリースされ、このアルバム収録曲でもある『YOU BETTER RUN』のプロモ・ビデオは
MTV開局後の2番目にオン・エアされた。御存じの通り、記念すべきオープナーはバグルスの『VIDEO KILLED
THE RADIOSTAR』である。おっと、『YOU BETTER RUN』がラスカルズ・カバーであるのに気付いたのは
もうちょっと早かったことは申し添えておかねば。(笑)
さて。先週は映画「セルピコ」を観たので、今日はパットの「トロピコ」でも聴くとしますか。(笑)
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