何でもいいのだが、一つ何かが当たると次を狙って同じような物が出てくるのは世の常で、
古今東西それは同じである。そういう売り出し方がブームを作るのか、ブームになるから
似た傾向の物が増えるのか、何れにしろ売る側はブームの間に少しでも多くの金銭回収を
目論むものだ。
似た物であってもなくても、ライバル関係というのも売る側にとっては重要な戦略のひとつだろう。
これも当然ながら、売る側が仕掛けた場合と購買層が自然にそのように見て、いつのまにか
そういうふうになっていた場合がある。
光と影。陽と陰。表と裏。
対比する表現はいくつもあるが、先に挙げた表現において、どちらかというと後者の表現は前者に
追随するようなニュアンスで捉えられる。好き好んで自ら後者に該当しようと思う人がいるかどうかは
わからないが、そんな役割を担わせる場合がある。個人的には両方の魅力があればいいと思うのだけど。
私がトゥインクルのことを知ったのは、何で読んだのか忘れたが、「サンディー・ショウはモッズの
アイドルで、トゥインクルはロッカーズのアイドルだった。」という内容の文章を見てからである。
サンディー・ショウのアルバムは持っていたので、トゥインクルも聴いてみたいと思い購入したのが
01年に出た掲載写真のCD「GOLDEN LIGHTS*SPECIAL EDITION」。このCDがリリースされる
前にジャケット・デザイン的にはこれより優れた内容のCDがあったのだが、こちらのほうが収録曲が
多かったので、これを選んだ次第である。これはアルバムを制作しなかった彼女のシングルを
集めたもので、今のところこれが最良の形で聴くことができるコンピレーション。
16歳でデビューし、自ら曲を書いて歌うというのは単なるアイドルではなく優れた才能の持ち主だったと言える。
当時の10代でここまで出来た(或いは、自作曲を歌うことを許された)のは凄いことではなかったろうか。
デビュー曲の『TERRY』は、バイク事故で恋人を失う悲劇が題材だった故にロッカーズのアイドルに
なったのであろう。レコード制作上、どういった制約というか問題があったのか知らなのだが、
60年代にアルバムを制作することなくフェイド・アウトしたのはもったいないと今更のように思う。
私はリアル・タイムでザ・スミスを聴いていた。聴いてはいたのだが、それほど熱心な聞き手ではなく
発売と同時に買ったアルバムは1枚のみで、他は適当に気が向いたら買うというもので結果的に
全てのアルバムや何枚かのシングルは持っているが、隅々まで聴いたかというと心許ない。
そんな私だから、スミスがトゥインクルの『GOLDEN LIGHTS』をカバーしていたことには、かなり後に
なって気付いた。件の曲はシングル『ASK』のB面曲で、後に編集版「LOUDER THAN BOMB」に
収録された。思えば、モッズとロッカーズのアイドル両方を引っ張り出してきたところに、
モリッシーの中に隠れた、決して表立って表現することのない「俺は皆に好かれたい」という願望が
透けて見えるような気がする。
60年代末に引退したトゥインクルが、74年に録音した
未発表アルバム「MICHAEL HANNAH」が世に出たのは、06年。先のコンピレーション「GOLDEN
LIGHTS*SPECIAL EDITION」で5曲聴くことができたのだが、そこで聴くことのできた楽曲とアレンジは
素敵なもので、これの完全版を聴くことができたのは嬉しかった。機会があれば、マイク・ダボのいい仕事を
確認していただきたい。
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