ポール・マッカートニーの数あるアルバムの中で何が一番好きなのかを自問自答する時、頭に
浮かぶのは「BAND ON THE RUN」と「RAM」である。気分によってこの2枚の順位はコロコロ変わる
のだが、今は気分は「RAM」である。何せ、4枚のCDと1枚のDVDを収録したスーパー・デラックス・
エディションを楽しんでいる真っ最中なのだから。
ポールの豪華箱も今作で4作目。正直に言えば、箱の装丁はいつにもまして豪華なのだが
相変わらずボーナス・トラックというか未発表曲の類の収録数が少ないという不満はある。
ただ、あくまで私の感覚ではあるがポールの蔵出しトラックに対して、それほど感心したことはないので
まあいいかという大らかな気持ちは常にある。アルバムの中に平気で捨て曲をぶち込むことも
出来る人なので、当たり前といえばそうなのだが。この表現、悪くとってもらっても結構だが
私はそこにポールのロケン・ローラーを見る気がする。
私にとっての今回の目玉は「RAM」のモノ・バージョンであった。ブートレグCDでも出廻ったことがあるが
それは聴いていない。今回初めて聴くのだが、音の柔らかい感じがとても心地よい。ステレオ・バージョンの
リマスターも素晴らしい。手作り感と手だれ感(笑)が程良く混ざり、ポールのメロディー・メーカーぶりが
炸裂した1枚なので、良い音で聴くことができる嬉しさは何物にも代えがたい。
「RAM」をオーケストラとジャズ風味でインスト・カバーした「THRILLINGTON」も収録されている。
95年にCD化された際に喜んで買ったのだが、2,3度聴いてそれっきりだったので、改めて向き合う
良い機会にもなった。ポールが演奏に参加しているのでは?と言われていたが、ポールは今回の
ライナーで否定している。
DVDにはアルバム作製にあたってのエピソードを簡潔にまとめた映像があり、ライナーに掲載された
ポールのインタビューを補完する。『3 LEGS』のプロモは『HEART OF THE COUNTRY』のプロモの
アナザー・バージョンのような感じだが、『HEY DIDDLE』を弾き語る映像には感動。ポールとリンダの
幸福な日々が伺えて、見ているこっちが嬉しくなる映像だ。画質はよくないが72年の欧州ツアーの
映像を組み合わせた『EAT AT HOME』も興味深い。
ボックスの「おまけ」が、また豪華。132ページの分厚い本には写真と解説が満載で、それとは別に
32ページのスクラップ・ブックを収納。大きめの生写真が5枚に、インクの載りが良すぎる(笑)歌詞
シートの複製も嬉しいのだが、個人的に一番気に入ったのは、アルバム・ジャケット作製用に撮られた
羊の写真集(笑)であった。ああ、楽しいなあ。
あれ、俺ってこんなにポールのファンだったっけ?。(笑)
まあ、「RAM」のファンであることは間違いないのだけど。
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