掲載写真はサンハウスの2枚組ライブ盤「SON HOUSE SHOW 1973 . 3 . 12」。
サンハウス初のワンマンショーを2時間超えの完全収録で、しかも会場録音ではなく
サウンドボード録音で聴くことができるとは、なんて凄いことなんだろう。
コンサートの前に摩訶不思議なオープニングSEにウイリアム・テル序曲が流れるという
演出の部分からしっかり録音されていて、それを聴くだけでワクワクするし、初の
ワンマンショーに対する意気込みというか仕掛けの妙に感心する。オープニング曲が
これまで聴いたこともなかったオリジナルの『サンハウス・ショー』であるのも特記
すべきで、ライナーによるとこの日のみ演奏された曲ということであり、そのことも
今回リリースされたライブ盤が特別なもののような気にさせる。
演奏は二部構成で前半はブルーズ・カバーで、後半はオリジナル曲を16曲演奏し
再びカバー大会となる。長時間のライブで尚且つバンド史上初期ということもあるためか
ここまでまとまったブルーズ・カバーを聴くことができるのは珍しいのではなかろうか。
第二部はキンクスの『TOP OF THE POPS』のMCに続いて間髪入れずにギターが
鳴り響く『キングスネーク・ブルース』でスタート。この演出も個人的には
面白いと思ったのだが、ライナーでは不評だったように書かれている。
オリジナルの曲名を見て、今更ながら思ったことがある。『つらい浮世』という曲名
から思い浮かぶのは、それがマザーズ・オブ・インベンションの『TROUBLE EVERY
DAY』の邦題であるということだ。TROUBLE COMIN' EVERY DAYと最初期は表記され
日本でもシングル盤が出ている。更に『毎日トラブルがやって来る』という曲名から
察すれば、サンハウスの連中もマザーズを聴いていたのかなぁ、なんてことを想像して
ニヤニヤしてしまうのである。
それにしても、数々のブルース・スタンダードと並べてもサンハウスの楽曲が全く
聴き劣りしないのが、このバンドが特別であったことを見事に証明してくれる。
こんなに素敵で歴史的価値のある音源が限定500枚のリリースでいいのだろうか。(笑)
この後、72年の演奏のリリース予定があるようなので、そちらも是非実現させて
ほしいと願っている。