村上龍 「ダメな女」
“今、決断を迫られる機会が多いのは女のほうだと思う。
女のほうがより普遍的な悩みを抱えている”
概要
村上氏は宮崎駿さんと対談をしたことがある。そのとき、男を主人公にすることができないという話が興味深かったそうだ。
「今、決断する機会が多いのは女だ。だから男を主人公にすることはできない」のだそうだ。もののけ姫でも男はろくな人間が登場せず、アシタカは男でも子どもである。
日本社会の男たちは「決断」と無縁で生きている。だから、男の主人公ではリアリティがない。男がリスクを負って何事かを成し遂げる、という設定が無理な状況になってしまっている。
日本の男はこの近現代、戦争もし、必死に働き、努力の末に日本を先進国とし、世界でも恥じない社会を作ってきた。さまざまな問題はあるにしても、そのことは評価できることだ。しかし今、中高年の男たちが自分たちに自信をもつこともできず、うつ病になったり自殺をしたりする人も増えている。自分たちがしてきたことで、誇るべきものは誇ってもいいのに、それができない。
というのは、1990年代に起こった不良債権問題などでもいえるが、一方に失敗を隠そうとする日本の男の体質がある。失敗を正直に認めて早く対処するという潔さがない。
誇れるべきところも誇らず、失敗を失敗と認めるべきこともできないのが日本の男のダメな部分だ。ダメな男は、「自らリスクを負いコストを払って何かを成し遂げよう」とはしない。
そんな中で、決断を迫られるのが女だということだ。
日本は昔から「従属」の社会だった。だから、女は男に従属していた。
しかし、今やダメな男に従属しているような女には、当然明るい道は開けないだろう。
男にもいろんな男がいるとは思いますが、そういう個々のことではなく、日本全般の男という捕らえ方で見た場合、こういうことがいえるでしょう。
たとえば、最近の日本の政治家などを見ても、男には碌なものがいません。特に大臣になるような人間にお粗末なのが多すぎます。自分の失敗を失敗として認めない、ごまかす、いいのがれる、それを総理が保護する。政治家と言うのは特に日本の古い体質を残しているのではないでしょうか。保身と出世と金儲けしか考えていない器の小さな人間です。そして、それがうまくいかなくなるともう道がない。そういえば、自殺をしてしまった人もいました。
やっぱり、29日の選挙は女に入れようかな。
“今、決断を迫られる機会が多いのは女のほうだと思う。
女のほうがより普遍的な悩みを抱えている”
概要
村上氏は宮崎駿さんと対談をしたことがある。そのとき、男を主人公にすることができないという話が興味深かったそうだ。
「今、決断する機会が多いのは女だ。だから男を主人公にすることはできない」のだそうだ。もののけ姫でも男はろくな人間が登場せず、アシタカは男でも子どもである。
日本社会の男たちは「決断」と無縁で生きている。だから、男の主人公ではリアリティがない。男がリスクを負って何事かを成し遂げる、という設定が無理な状況になってしまっている。
日本の男はこの近現代、戦争もし、必死に働き、努力の末に日本を先進国とし、世界でも恥じない社会を作ってきた。さまざまな問題はあるにしても、そのことは評価できることだ。しかし今、中高年の男たちが自分たちに自信をもつこともできず、うつ病になったり自殺をしたりする人も増えている。自分たちがしてきたことで、誇るべきものは誇ってもいいのに、それができない。
というのは、1990年代に起こった不良債権問題などでもいえるが、一方に失敗を隠そうとする日本の男の体質がある。失敗を正直に認めて早く対処するという潔さがない。
誇れるべきところも誇らず、失敗を失敗と認めるべきこともできないのが日本の男のダメな部分だ。ダメな男は、「自らリスクを負いコストを払って何かを成し遂げよう」とはしない。
そんな中で、決断を迫られるのが女だということだ。
日本は昔から「従属」の社会だった。だから、女は男に従属していた。
しかし、今やダメな男に従属しているような女には、当然明るい道は開けないだろう。
男にもいろんな男がいるとは思いますが、そういう個々のことではなく、日本全般の男という捕らえ方で見た場合、こういうことがいえるでしょう。
たとえば、最近の日本の政治家などを見ても、男には碌なものがいません。特に大臣になるような人間にお粗末なのが多すぎます。自分の失敗を失敗として認めない、ごまかす、いいのがれる、それを総理が保護する。政治家と言うのは特に日本の古い体質を残しているのではないでしょうか。保身と出世と金儲けしか考えていない器の小さな人間です。そして、それがうまくいかなくなるともう道がない。そういえば、自殺をしてしまった人もいました。
やっぱり、29日の選挙は女に入れようかな。