村上龍「ダメな女」
“ “知らない”ということは恐ろしい。
時と場合によっては、
無知が罪になることもあるからだ。 ”
「感度が悪い」ということは、その結果「無知」になるということだろう。
あるいは、「無知」だから「感度も悪い」とも言える。
まず、ビートルズのことが書かれていたのだが、ビートルズの歌が初めて出たころは、日本の大人はあんなものは音楽ではないというような反応をしめしたそうだ。しかしビートルズの音楽は当時の大人がそのすばらしさを感じることも理解することもできなかっただけで、若者はちゃんとその価値を見出していた。
ところで、現代はどうかというと、どうしようもないような陳腐な歌が多いという。もしかしたら昔のビートルズのときのように、自分に新しい音楽を理解する能力や感性がないのかもしれないと思ってみたが、やはりそうではないとのことだ。
良さがわからないというのは、その人に本当に見る目がない場合もあるが、逆に多くの人が良いと言っても、その多くの人がくだらないものばかりに浸っているために、本当に良いものを知らず、くだらないものを良いものだと思っている場合も多々ある、ということを著者は言いたいのだろう。
困ったことに、私はこの無知な部類に入る。ワインは安物でも充分においしいし、発泡酒とビールの違いもあまりわからない。料理にはいつも「にんべんのつゆの素」を利用しているが、自分で本当の鰹節や煮干・昆布でだしをとり、本みりん、砂糖、丸大豆本醸造しょうゆだけを使って味をつけたとすれば、それが本当の味なのだろう。それをてっとり早くこういう半インスタント食品のようなものを使って味付けをしていると、アミノ酸だの酸味料だのいろいろな添加物が入っていて、それでもっともらしいおいしさをかもし出している。「にんべんのつゆ」はしょうゆ・みりん・だし、などはちゃんとしたものを使っているようだが、添加物が入っていることは確かである。こういう味に慣れてしまっていると本物の味がわからない。外食をしても、ファミレスの味付けで十分満足してしまう。高級な料亭のたべものよりもファミレスのほうが安くておいしいなどと思ってしまうわけだ。
子供にもどんどん添加物の入った安物の食品を食べさせていると、もしかしたら体に悪い影響を及ぼすかもしれない。
また、地球の環境が破壊されているというのに、電気や燃料をがんがん使ったり、ものをどんどん使い捨てにしたりしたら、それも問題行動だ。
たとえば、自分がやっていることが、環境や人にどんな悪い影響を与えているかを知らないということも罪であろう。
いい年をして「知らなかった」では済まされないことがたくさんある。
そういう人間は自分の人生の時間を無題に消費しているのだそうだ。
鈍感で無知な女からの脱却、洗練された感性のある女性。それが目標だ。
“ “知らない”ということは恐ろしい。
時と場合によっては、
無知が罪になることもあるからだ。 ”
「感度が悪い」ということは、その結果「無知」になるということだろう。
あるいは、「無知」だから「感度も悪い」とも言える。
まず、ビートルズのことが書かれていたのだが、ビートルズの歌が初めて出たころは、日本の大人はあんなものは音楽ではないというような反応をしめしたそうだ。しかしビートルズの音楽は当時の大人がそのすばらしさを感じることも理解することもできなかっただけで、若者はちゃんとその価値を見出していた。
ところで、現代はどうかというと、どうしようもないような陳腐な歌が多いという。もしかしたら昔のビートルズのときのように、自分に新しい音楽を理解する能力や感性がないのかもしれないと思ってみたが、やはりそうではないとのことだ。
良さがわからないというのは、その人に本当に見る目がない場合もあるが、逆に多くの人が良いと言っても、その多くの人がくだらないものばかりに浸っているために、本当に良いものを知らず、くだらないものを良いものだと思っている場合も多々ある、ということを著者は言いたいのだろう。
困ったことに、私はこの無知な部類に入る。ワインは安物でも充分においしいし、発泡酒とビールの違いもあまりわからない。料理にはいつも「にんべんのつゆの素」を利用しているが、自分で本当の鰹節や煮干・昆布でだしをとり、本みりん、砂糖、丸大豆本醸造しょうゆだけを使って味をつけたとすれば、それが本当の味なのだろう。それをてっとり早くこういう半インスタント食品のようなものを使って味付けをしていると、アミノ酸だの酸味料だのいろいろな添加物が入っていて、それでもっともらしいおいしさをかもし出している。「にんべんのつゆ」はしょうゆ・みりん・だし、などはちゃんとしたものを使っているようだが、添加物が入っていることは確かである。こういう味に慣れてしまっていると本物の味がわからない。外食をしても、ファミレスの味付けで十分満足してしまう。高級な料亭のたべものよりもファミレスのほうが安くておいしいなどと思ってしまうわけだ。
子供にもどんどん添加物の入った安物の食品を食べさせていると、もしかしたら体に悪い影響を及ぼすかもしれない。
また、地球の環境が破壊されているというのに、電気や燃料をがんがん使ったり、ものをどんどん使い捨てにしたりしたら、それも問題行動だ。
たとえば、自分がやっていることが、環境や人にどんな悪い影響を与えているかを知らないということも罪であろう。
いい年をして「知らなかった」では済まされないことがたくさんある。
そういう人間は自分の人生の時間を無題に消費しているのだそうだ。
鈍感で無知な女からの脱却、洗練された感性のある女性。それが目標だ。