私は整理整頓が苦手な人間なので、家の中のものは無作為に、あっちを向いたりこっちを向いたり、床の上に放り投げたりしてある。
そんな私が、駐車場に車を置く時には、ぜったいに曲がっているのは許せない。
いまだに下手くそで、いっぺんにきれいに入ることはないので、位置を修正するのは常だが、一旦降りて鍵をかけて帰宅するときに、もういちど車を眺め、そこでちょっとでも斜めになっていたり、片方によっていたら、また鍵を開けてエンジンをかけ、位置を直す。
それを見ていた長女が、あまりにもお母さんらしくないと、驚くとともに、そこまでしなくていいんじゃないかとあきれていた。
ダメダメ。枠の中に、きちんと置いてないと恥ずかしいだろ!
まあ、几帳面というよりも、他人から下手だと思われたくないということかな。
しかし、それだけではなく、自分の変な習性に気づいてしまった。
車に乗るときは、髪型をちゃんと整え、化粧をしなければだめだ。
車というものはきちんとしなくては乗ってはいけないものだ、というふうな感じなのだ。
そうしないと、気が緩んで事故でも起こしそうなきがしてしまうんだろう。
さらに、車に乗る前には、台所の洗い物をすべてきれいに洗ってからでないと出かけてはいけない。
これも、なんか、そんな気がするのだ。
流しの中を汚いままにして車に乗るようなだらしない人間は、車を溝に落とすんではなかろうか、のような、変な感覚があるのだ。
だから、車に乗るようになってから、何か人間が変わってきたような気がする。