ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

05/03/09スペクタクル・ミュージカル『十戒』、星ひとつかなあ...

2005-04-24 23:41:08 | 観劇
3月の観劇日記ですが、少しずつ追っかけます。
yukariさんが申し込まれていた観覧モニター募集に見事当選され、その連れにしていただき、『十戒』を観に行った(このブログを始めてから初めてのオフ会!)。新聞に目を通す余裕がない頃だったのでこのミュージカルが話題になってことは知らなかった。あらかじめインターネットでどのような作品か調べて、私の愛する『レ・ミゼラブル』同様フランスで作られ、ヨーロッパで好評を博した作品だとわかって期待して観に行った。
まず、会場が初めて行く国立代々木競技場第一体育館が広いこと。大きなセット(幅40m高さ12m)を組んだということだったが、スタンド席だと本来1万円を超える席でも大して大きなものには見えなかった。アリーナ席だときっと迫力あったのだろうけど。
ストーリーはおなじみの旧約聖書「出エジプト記」のモーゼの話。古くはチャールストン・ヘストン主演の映画、最近ではドリームワークス社のアニメ映画『プリンス・オブ・エジプト』でおなじみの方も少なくないだろう。以下、あらすじ。
3,000年の昔、ナイル河のほとりに住みついたヘブライの民たちはエジプト王セティの奴隷にされ苦役に駆り出されていた。セティはその年に生まれたヘブライの男に殺されるという神託に男の赤ん坊を全て殺す命令を下し、ひとりの母親が子どもの命を救うために籠に入れてナイル河に流した。籠は王宮に流れつき、王の妹の目に止まり、彼女は赤子をモーゼと名づけて育てた。
モーゼは王の息子ラムセスと兄弟のように育ち、やがてふたりは王位継承王女アムネリスの愛をめぐって争うようになる。ある事件がきっかけでモーゼは自分の出生の秘密を知り、王宮を出て放浪の旅に出る。その中で羊飼いの娘と結婚し、シナイ山で神から啓示を受け、ヘブライの民を救うべく指導者となる。そしてエジプトの奴隷状態からの解放のために立ち上がり、王となっていたラムセスと対峙する。

この作品も全編歌うミュージカルなので、歌い手を揃えているのはよかった。主役のモーゼ役のセルジオ・モスケットもあたたかい声でなかなかよかったけど、一番気に入ったのはラムセス役のアメッド・ムイシ(あの髪型にするために自分の毛も前半分抜いてしまったのではないかと思ってるけど)。モーゼ役のセルジオ・モスケットと対峙して二人が掛け合いで歌うところなどは迫力十分だった。女性陣ではネフェルタリ役のジニー・リーヌもよかったけど、王の妹役の人の方が低めの暖かい声でモーゼへの愛情が伝わってきてよかった。
ところが、会場が大きすぎるからか、出演者がナマで歌っているように全く思えない。武道館にQUEENのコンサートを観に行った時の事を思い出した。「ボヘミアン・ラプソディ」という曲はとても特殊な録音をした曲なのでコンサートでナマで歌うことが難しい部分があり、そこはもう割り切って録音を流しながらメンバーはいったん引っ込んで衣装を変えて最後に出てきて最後の締めだけ歌うということをするが、その時と同じような聞こえ方。出演者は歌っていたとは思うが、多分録音中心にしていてコンサートのような顔の前に突き出したマイクはつけていたけど音は拾わないようにしていたんじゃないかと思った。とにかく50人くらい出演者がいたのにアンサンブルのは全くきこえず、中心的な人だけが歌うのがきこえる舞台というのは、すごく違和感があった。本当に似たような曲想で感動的に歌い上げる曲ばかりでかなり食傷気味になり、うつらうつらしてしまい不覚にも双眼鏡を通路に落として音をたててしまい、斜め前のおじ様に睨まれた(失礼)。また、踊りが私の嫌いな系統のダンスだったのもダメ。ストリートダンスのようなダンスは嫌いだし、筋肉を強調するような動きもダメ。初日には最後に出演したという平原綾香も今日は出ないでくれてよかった。マイクにブレスの音を平気で拾わせる彼女の歌い方はどうもダメ。「エブリデイ・リッスントゥー・マイ・ハート...」を流す店にいると私は逃げ出す(笑)。
なぜフランスでというかヨーロッパで受けたかというと、「ヘブライの民の解放を」とか、「愛を与えることを学べば愛が全てを包む」(とか歌詞にあったようだけど記憶が曖昧???)とかいうテーマ性ではないかという気がする。市民革命を経た国が多いし、キリスト教のエリアだしなどと考え。またフランス人は英米が嫌いだし、国産ミュージカルだから支持されたのではないかと推測する。『レ・ミゼラブル』と比べると月とスッポンだった。終演後のyukariさんとのオフ会が一番楽しかった。
その後、玉三郎さんのオフィシャルサイトの3月のコメントから、彼がラスベガスのショーを観に行って「電光掲示板のような画面、あるいはハイビジョン」を「次から次へと転換できることがかなり浸透していまして、ウィ・ウィル・ロック・ユーを始めその他にもバックにプロジェクトの画面を使用しているショーが多かった」というようなことを書いてあり、ああそういえば『十戒』もそうだったなと思った。燃える茨の姿で神がモーゼの前に現れるようなところはけっこう良かったなあとか思い出す。
また『十戒』を観てすごく感動したという方のブログ記事も読んだが、ええ~っ??っと思ってしまった。歌う人の歌唱力も誉めていて、まあそれはそうだろうが、あれがナマに聞こえたのか、そうであればやはりアリーナ席だったらそう聞こえたのかしらと???状態になった。そう聞こえたのであればスタンディングオーベーションにもなるし、モーゼ役の彼が「ヘイ、カモン」とか言えば舞台の前に殺到するのも納得がいく。主催のフジTVのさくらもいただろうし。大体、帝劇などでは通路脇席から通路にはみ出して立って拍手してるとそれだけで係員がとんできて注意される。舞台前への突進は絶対できない。スモークで海が割れた演出に感動していた人もいて、アリーナ席だと感動できるように見えたのかなとこれも???。
賛否両論の舞台だったということだろうか。まあ、私は星ひとつだな。こういう舞台も観ると目が肥えると思った。

写真はフジTVの『十戒』のホームページより。

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1 コメント

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Unknown (yukari57)
2005-04-27 02:04:43
ご丁寧に、1ヶ月以上たってからこれだけのことを書けるのは凄いです、私は2日以上たってから書いたものないですからね。ところで、やっぱトラバできません。こちらのコメントだけURLは、十戒書いたひにしております。ちなみに、http://d.hatena.ne.jp/yukari57/20050310 です。玉三郎のHPもずっと見てないけど、焦らずゆったりいきますわ。考えてみると、「十戒」の音響も凄かったけど、私的には、「アテルイ」の方が辛かったです。体調にもよるでしょうけど。
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