【刺青奇偶(いれずみちょうはん)】(作:長谷川伸)
今回の配役は以下の通り。
半太郎:勘三郎 お仲:玉三郎 鮫の政五郎:仁左衛門
荒木田の熊介:亀蔵 赤っぱ猪太郎:錦吾
半太郎の母親:玉之助 太郎吉:高麗蔵
あらすじは以下の通り。
(序幕)生来の博奕好きで江戸を追われた半太郎は、下総行徳の船場で荒木田の熊介と争っていた傍で、身投げをした酌婦のお仲を救う。男に裏切られて売られを繰り返す人生を送ってきたお仲はとりあえず死ぬのをやめ、半太郎が自分の身体を代償に求めてくるだろうと見透かしている。ところが半太郎にその気がなくさっさと行ってしまうので驚き、これまでに会ったことのないような男の魅力を半太郎に見出し、後を追っていく。熊介が狭山での殺しをネタに半太郎をしつこくゆすってくる。半太郎は生きていくために熊介を斬るが、そこに半太郎の母親と従弟の太郎吉が半太郎を尋ねあてて来る。追っ手と誤解した半太郎はお仲と逃げてしまう。
(二幕)半太郎とお仲は南品川で所帯を持っている。半太郎は職を得てそこそこの収入があるはずなのに博奕が止められずに部屋の中はみすぼらしい暮らし。お仲は死の床にあるが、半太郎の二の腕に刺青を彫らせてとねだる。サイコロの刺青を見てお仲の真意に気づく半太郎は博奕を止めると誓う。
それなのに半太郎は賭場に出かけてイカサマを仕掛けて叩き出されている。鮫の政五郎が出てきて半太郎にイカサマのわけを尋ねると、恋女房のこの世の名残に家の中に調度品を飾り立ててやりたかったのだという。すると政五郎は丁半ばくちを誘いかけ、半太郎が半で勝つと小判のつまった胴巻きを投げてよこす。お仲の名を呼びながら家路を急ぐ花道の引っ込みで幕。
木挽堂書店の店頭で先代の勘三郎の半太郎に若かった玉三郎が刺青を入れている古い白黒のブロマイド写真を見つけた。玉三郎は綺麗だが少年のような顔をしていた。今は愛する男を心底想う女房の顔だ。当代の勘三郎も男っぷりがいいし、最高にいいコンビだと思った。
序幕の身投げから助けられた玉三郎のお仲の投げやりな様子がよかった。「熊野」との大きなギャップに客席から笑いが起こる。こういうコメディエンヌ?ぶりも魅力的だ。やりとりをするうちに半太郎の男気に引かれ、ついていくことで自分の人生を変えようと必死になっている姿に、観ている方もあせってくる。刺青の場面は本当にしんみりしてしまった。
賭場を叩き出された血まみれの顔の勘三郎にドッキリ。「熊野」の宗盛から一転してドスをきかせた低音をきかせた政五郎親分の仁左衛門の登場にワクワク~。少しの出番なのにここまでカッコいいのが嬉しい~。
観る前は名作ガイドブックなどで「どうしても博打を止めることができない悲しい男の業」のドラマというイメージを抱いていた。しかし刺青の後の博打は、死期の近い恋女房に何か大きなことをやってやりたいのに時間がないための大博打。抵抗感もなくすんなり受け止めることができた。走ってもお仲の死に際に間に合わないんじゃないかなぁ。せつない物語であった。さすがに長谷川伸だなぁ。
写真は「刺青奇偶」幕見のチケット売り場を売り切れのために閉鎖しているところ。
4/21の仕事帰りに夜の部の「勧進帳」だけ幕見に行ってみた。見事に玉砕。舞台写真を買う時にロビーに仁左衛門弁慶の声が聞こえてきただけでよしとしよう。それにしても人気高すぎ!明日の千穐楽一回だけだが、しっかり観ることにしよう。
4/17 昼の部幕見①「熊野(ゆや)」
4/26千穐楽夜の部①黄金三角の「勧進帳」
それにても昼の部の玉三郎丈は、美し~い「熊野」からヨレヨレすれすれ女の「お仲」への変身がすごかったですね。昨年10月の天女さまから「牡丹燈籠」のきったないお峰への変身もホントすごかったので、けっこうこういうのをねらっているのかもとか思ってしまいました。
4月は玉三郎×仁左衛門×勘三郎の演目が昼も夜もあって、贅沢極まる舞台でした。年に一回はこの3人の組む舞台が観たいです!
(注)かしまし娘さんの記事は名前をクリックすると読んでいただけますのでご紹介(^O^)/
ゴールデンカップルの輝きが忘れられません。
9年も空白があったなんて…待ちくたびれましたが、
待った甲斐がありました。
私もなんとか4/17に「熊野」「刺青奇偶」だけ幕見で観ることができました。玉三郎×仁左衛門は今が盛りかもしれないと、目を皿のようにして観てしまっています。夜の部は千穐楽で観る予定でしたが、「勧進帳」だけもう一度と幕見に行ったのですが、見事に玉砕しての帰宅。そして千穐楽の一回勝負でしっかり観ました!
>松坂屋ウラの「佐八」という和風喫茶店に、玉さまの写真集(篠山紀信)があります......これはいいことを教えていただきました。是非行ってみたいです!そういう余裕のある観劇をしたいですが、なかなかというのも今の私の現状ですが(^^ゞ
お仲の玉さまは、ほんとにかわいくてかわいくて・・・。
前半の投げやりと、後半のいじらしさ。
勘三郎は、私が見た日は、少しせりふが入っていない気もしましたが、それでも素晴らしかった。
仁左衛門も風格があり、久しぶりにいいお芝居を見た!という気にさせてもらいました。
話が違いますが、松坂屋ウラの「佐八」という和風喫茶店に、玉さまの写真集(篠山紀信)があります。
ご亭主が歌舞伎好きで、いろいろな裏話を教えてもらいました。長居できる、雰囲気の良いお店です。
ヨレヨレあばずれ玉さまが最高でした。
きゅ~~んときました♪
刺青をさしている時の横顔なんて・・・もう切なすぎ・・。
綺麗にセンターに座っていたのですが、むしろ
上手に座りたい・・・・っ!って思ってしまいました!
いや~~でもよかったです♪