ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

12/08/24 稚魚の会・歌舞伎会合同公演デビューしました!

2012-09-01 23:59:23 | 観劇

毎年8月は納涼歌舞伎ということで三部制興行があり、関心はありつつも若手役者の勉強会「稚魚の会・歌舞伎会合同公演(国立劇場歌舞伎俳優研修修了生・既成者研修発表会)」は気になりつつもまだ未見だった。
今月は新橋演舞場の夜の部をパスしたため余裕ができ、さちぎくさんにお誘いいただいた第18回公演でデビュー!国立小劇場で24(金)夜の部A班の公演を観劇した。冒頭は今公演のチラシ画像。

最前列センター席ということで、これは全く寝られないぞ、いつものブラックガムを噛んで頑張ろうと変に緊張したが、杞憂だった。実に3つの演目とも面白かった。
【絵本太功記「尼ヶ崎閑居の場」】中村魁春=監修・指導 市川團蔵=監修・指導
歌舞伎で観た太功記の十段目いわゆる「太十」はあまり面白いと思える演目ではなかった。主人公の光秀があまり格好のよい役ではないということもある。しかしながら、何年か前の文楽国立小劇場公演で観て、この場面は主君への謀反を起こした息子をゆるせずに家出した母皐月の閑居の場であり、その母の目で観ると面白いドラマであることに気がついた。
Wikipediaの「絵本太功記」はこちら
A班の配役はこちら
武智光秀=市川猿琉 妻操=坂東玉朗 母皐月=片岡松寿
武智十次郎=市川笑野 初菊=中村春之助
旅僧実は真柴久吉=中村獅二郎 佐藤正清=市川茂之介
「亀治郎の会さよなら公演」の「檜垣」で小野小町を演じた笑野の前髪の若者姿が実に美しく芝居もよく、今回はこの若く美しい若者が父の謀反のために命を落とす悲劇という側面を強く感じた(笑野戯言草の記事)。光秀の猿琉も声姿ともよく、猿翁門下の二人がしっかりとこの舞台のシンになっていたと思う。
若手の役者が皐月のような老けの大役をつとめるのは本当に大変だと思うが、松寿が松嶋屋のお弟子らしく立派につとめていた。獅二郎の顔や台詞が獅童によく似ていたのが師弟関係を感じさせた。

【妹背山婦女庭訓「道行恋苧環」】竹本連中 藤間勘祖=振付
今年1月の坂東玉三郎初春特別公演でも観たが、竹本の詞章がよく聞きとれずものすごくフラストレーションを感じてしまった。なんと、今回は筋書に詞章が全部掲載されているということで、チラチラと詞章をチェックし、床も近くて竹本がよく聞きとれた。そうすると振りの意味もなるほどとわかるので実に面白く観た。
A班の配役はこちら
入鹿妹橘姫=澤村伊助 烏帽子折求女=中村京三郎
杉酒屋娘お三輪=中村竹蝶
ビジュアル的には求女の京三郎が細く華奢な姿で二枚目に見えず、伊助の橘姫と逆の配役で見たいと思ってしまった。ご一緒したさちぎくさん(日本舞踊の名取)によると伊助が三人の中で一番踊りがうまいとのこと。この場面は橘姫が一番長く踊るので、そういう配役でよいのかと納得。

【新古演劇十種の内「身替座禅」】常磐津連中・長唄囃子連中
2008年6月の歌舞伎座で観た時の記事はこちら
岡村柿紅=作 藤間勘祖=振付
A班の配役はこちら
山蔭右京=市川左字郎 太郎冠者=中村京純
侍女千枝=中村京珠 侍女小枝=中村春希
奥方玉の井=尾上音之助
右京役の左字郎は長く日本舞踊をされていて左團次門下に入られたという方で、舞踊は本当にうまい。声もいいし、台詞もさすがに菊五郎劇団仕込みだと感心。小柄だが二枚目がよく似合って立派なお殿様ぶりだった(いいお衣裳だと思っていたら、富十郎の右京の衣裳だという、さすが!)
太郎冠者の京純も軽妙で、侍女二人も綺麗で舞もよかった。さらに奥方玉の井の音之助の山の神ぶりが実によかった。どっしりとして女優の片桐はいりによく似たお顔で愛する殿様と一時でも離れていたくないという様子、浮気を知ってヤキモチを焼くところも可愛いといったらない。
大劇場の1列目はちょっと見にくいのだが、小劇場ではかぶりつきでも見やすくて、こんなにいいお席で3本も退屈せずに観ることができたのは、有難い経験だった。感謝、感謝!!

「道行恋苧環」の詞章も載っているということで、筋書を購入。表紙のデザインが実に凝っている(下の写真)。「身替座禅」の右京が花子にもらった黒字に桜花の小袖風のデザインを地にして、「道行恋苧環」で恋人につけて後を追うための苧環が赤と白が上下にあって糸を伸ばしている。そして、武智の家紋の桔梗の青い花、国立劇場の座紋(楽を奏でる天人像)も散っている。ちゃんと工夫をされているということがよくわかった。


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2 コメント

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Unknown (さちぎく)
2012-09-02 19:49:07
お誘いしたかいがあるというものです。しかし、会を見た人多しと謂えども、プロの表紙を分析する人はまずいないでしょうね。
★さちぎく様 (ぴかちゅう)
2012-09-03 00:55:01
ネット検索で「稚魚の会 表紙」でみつけたら、いらっしゃいましたよ。その「はなみずき」さんの記事のURLを私の名前のURL欄に入れておきます。
初日にA班、B班ともご覧になっているようです。この公演は熱心なファンの方がいらっしゃるようで、嬉しいですね。

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