ヤマハC3 の衝撃デビュー 1967年
ヤマハコンサートグランドピアノCF についての記述は多い。そして全て正しい。イタリア調律師タローネ の指導の下、スタインウェイコンサートグランドピアノD に匹敵するコンサートグランドピアノをアジアで製作し、多くのトップピアニスト(ミケランジェリ、リヒテル、シフラ、グールド など)がコンサートに録音に使用したのである。
ピアノ界にとって、それ以上の衝撃だったのが、「C3誕生」である。
CF のアクションをそのまま、グランドピアノ G3 に付けたのが C3
のである。さすがにハンマーは、CF同等品では無かった様子w G3ハンマーよりは上等だが。G3 より僅かに価格の高い C3 が「コンサートグランドピアノのアクション」を有したことは、「連打・ハーフペダル」などを音楽大学の教授の研究室で受けたレッスンを練習室や自宅で「アクションは再現」出来ることを意味する。音色の変化は小さいのだが。欧米の音楽大学練習室にC3が大量に流れ込んだ。
「響板が人工乾燥で時間を圧縮したグランドピアノにコンサートグランドピアノアクションを付ける」発想は、欧米のコンサートグランドピアノメーカーには1967年当時は全く無かっただけでなく、2022年まで存在していないと思っている。(現在はあるかも)
出来る限り小さいグランドピアノに付けたかったはずだが、183cm のG3には付けられたが、178cm のG2には付けられ無かった。1967年のヤマハの技術を結集して5cmの壁が立ちはだかった。これは55年経過した現在₌2022年も変わらない。
ちなみに「小型グランドピアノのアクションで最も精巧な機種は スタインウェイS型(155cm)」である。この 28cm は技術力の差である。私高本は スタインウェイ > ヤマハ と認識している。
G2 でアメリカ学校用グランドピアノを落札し、C3 で欧米音楽大学練習室を席巻したヤマハだが、学校用グランドピアノで日本市場を荒らされる。カワイなど国内メーカーとの競争は勿論あった(アポロ・アトラス ブランドが有名)。個別には勝ったり負けたりだったが、トップを走り続けていた。日本市場が最大の1980年(私高本が初めのグランドピアノ=カワイKG6C購入年)辺りから発生した様子。日本のヤマハ・カワイを手本としたピアノメーカーが韓国に出来て、「ヤマハ・カワイ以下の値段で学校用グランドピアノ提供」と相成った。
- Samick
- Young Chang
である。「歴史は繰り返される」格言をまさに地で行くストーリーだ。
私高本 は弾いたことがある 韓国学校用グランドピアノ、Samick or Young Chang は不明。ヤマハ最安値グランドピアノA1 より魅力無い音が印象的。だが、日本の小中高校に蔓延したのである。
レンナージャパン株式会社 カタログ を読んで欲しい。
レンナージャパンは世界最大のハンマーメーカー=独レンナー社日本法人である。「需要があれば何でも作る」会社であり、ヤマハやカワイなど「自社でハンマー製造」会社の「交換ハンマー」も制作販売している。初めの方は「顔」なので、見栄え良いブランドが並んでいる。最後の方を見て欲しい。「Samic」「Young Chang」と綴り方間違いの気合の入っていない2ブランドが韓国ブランドである。1980年から計算すれば42年、ハンマーは消耗して交換時期です、普通に使っても。
アクションも随分傷んでいるだろうな、1980年代購入の韓国グランドピアノ。
『安く』が大前提の学校用グランドピアノ。小さくても良い、と言うか、小さい方が良い、狭い教室にも入るから。ショパンのエチュードは弾けなくて良い、校歌と君が代が弾ければ良いだけだから。ヤマハは対応機種を世に送り出す。
- G1 1988
- A1 1993
である。カワイも対応する。GL10,GL30,GL50 が現行ラインアップ。値上げの告知にも掲載されているし、google検索すると、市販されている > カワイ学校用グランドピアノ。安いよ。「校歌と君が代だけ弾けるピアノ」である。カワイGLシリーズは値引きも小さくない。google検索すると安値が次々に見つかるぞ!
「1962年当時のロサンゼルス市教育委員会のような『質』へのこだわりは皆無な市町村」が日本には蔓延しているのだ。