パピとママ映画のblog

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銀の匙 Silver Spoon ★★★.5

2014年03月12日 | か行の映画
週刊少年サンデーで連載され人気を博しテレビアニメ化もされた荒川弘のコミックを、『麦子さんと』などの吉田恵輔監督が実写映画化した青春ドラマ。北海道の農業高校に入学した主人公が、酪農実習や部活に苦悩しながらも仲間たちと絆を深め、農業をめぐる理想と現実のはざまで葛藤しつつ命の大切さを学んでいく。主演は、アイドルグループSexy Zoneの中島健人。共演には広瀬アリス、市川知宏、黒木華、中村獅童など多彩なキャストがそろう。
あらすじ:受験失敗をきっかけに、北海道の大蝦夷農業高校へ入学した八軒勇吾(中島健人)は、同級生のアキ(広瀬アリス)や駒場(市川知宏)のように明確な将来の展望を抱けない自分に違和感を抱きつつも、酪農実習や部活に奮闘していた。北海道の大自然と動物たち、そして個性豊かな仲間に囲まれ、これまで経験したことのない生活を送る中で八軒は戸惑い、悩みながらも自分の進むべき道を見つけ始めるが……。

<感想>軽快な青春コメディにして、熱い社会派ドラマでもある心憎い逸品です。原作は1300万部突破の大ベストセラーとなり、テレビアニメ化されている同名コミック。
北海道にある農業高校酪農家に入学した都会派暮らしの男子生徒の目を通して、牛、豚、鶏といった経済動物が食肉になっていく過程を、隠すことなくきっちりと見せていく作品です。
主人公の八軒勇吾は、中学まで札幌の超名門校にいたが、受験レースに付いていけず挫折。父親の厳しい言葉や家にいずらくなり、帯広にある寮のある農業高校に進学。実家を出れれば何処でも良かったのだ。親が思うようには子供は育たないということも含めて、とても意義のある作品でした。

動物の世話をするのは初めてで、毎日、早朝に起きなければならず、土日も関係ない。八軒の仲間たちは、殆どの生徒が実家が酪農関係者で、経済動物に過剰な愛情を注ぐと辛くなることを子供のころから理解していた。
だが、将来は実家を継ぐ級友たちに対し、八軒は具体的な夢はなかった。だからという分けでもないが、子豚の飼育に対しても名前を“豚丼”と付けて可愛がる。皆は、食肉に売られていく時に、絶対に心が折れそうなくらいに辛くなるからやめろと言いうが、初めての経験だしよく理解できない。

しかし、秋になりその大好きな“豚丼”の出荷が決まり、どうしてもその“豚丼”を自分の手もとに置きたくて、夏休みにアルバイトしたお金で買いたいと申し出る。解体されてブロックにされた“豚丼”、それを燻製にしてみんなに振る舞う八軒の顔は清々しいく、少し大人になったような気がした。

アキの胸元をさりげなく見せるショット、大好きなアキの誘いで、部活も馬術部に入り、朝練で4時起きに。馬のエサやり、馬房の掃除に、練習と八軒にはキツイ修行が待ってた。
牛の世話や搾乳はもちろんのこと、手を突っ込んでの“直腸検査”の実習を体験のシーンでは、中村獅童先生の教えのもとで初体験。それに、黒ずくめの美しくナイスなボディの吹石一恵先生には驚きです。綺麗だけじゃない、酪農というものを男先生顔負けで教育してくれる。
主人公の八軒を演じた中島健人君、それに駒場を演じた市川知宏くんとの対立にはハラハラし、駒場くんの家が倒産して地元を離れることになるとは、まるで現実みのある実話のようなお話でした。

そして、大好きになってしまった同級生アキの広瀬アリス、その父親竹内力は強面だが娘想いで、夏休みにその父親がヘルニアの手術で入院することになり、家を手伝う八軒。その広瀬アリスの祖父には石橋蓮司が、叔父さんに哀川翔が演じて、この温かい家族の絆に自分の家庭のことを重ねて、次第に両親のことを許していく八軒の成長が見えてきます。
アキの家にいる馬“キング”を、エゾノーのばん場レースに出すことを決め、アキとあやめが勝負するシーンが圧巻です。あやめには、黒木華さんが扮していて、いかにもお嬢様な感じがして素敵でした。

校長先生には上島竜兵が扮して、学校の食堂の壁に飾ってある「銀の匙」の意味を八軒に教えるところもいいですよね。とにかく、夢もなく入学した主人公が、個性的な仲間たちと酪農を学びながら、友情や恋、挫折を経験しながら成長していく姿を描いている。牛の出産シーンも感動的ですよ。とにかく酪農家は楽じゃない!食肉ができる行程を観られますから。この映画の中で、食べることのありがたみが感じられて幸せです。
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