パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

光のほうへ ★★★

2014年03月11日 | DVD作品ーな行、は行
悲劇的な少年時代を過ごし、別々の人生を送っていた兄弟が再び心を通わせ、どん底の人生から光を見出そうともがく姿を描くヒューマンドラマ。監督は、「セレブレーション」のトマス・ヴィンターベア。2010年ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品、2011年デンマーク・アカデミー賞助演男優賞など5部門受賞。
あらすじ:アルコール依存症の母親と暮らす兄弟にとって、唯一の希望は歳の離れた幼い弟だった。育児放棄した母親に代わり、2人は盗んだミルクを与え、タバコをふかしながら赤ん坊をあやし、電話帳からでたらめに名前を付け、洗礼の真似をした。しかし、赤ん坊は突然死んでしまう。
大人になった兄ニック(ヤコブ・セーダーグレン)は交際していたアナと別れ、自暴自棄になって人を殴り、最近まで刑務所に入っていた。現在は臨時宿泊施設で暮らしながら、酒と肉体を鍛えることで時間を埋めている。
ある日、アナの兄イヴァン(モーテン・ローセ)と街で偶然再会する。イヴァンはニックを、今は結婚して子供もいるアナのところへ案内する。アナと目が合うと、ニックは逃げるように立ち去る。その夜、ニックはイヴァンに、アナが自分たちの子供を妊娠したが中絶し、そのままいなくなったことを打ち明ける。
一方、弟(ペーター・プラウボー)は妻を交通事故で亡くし、幼い息子マーティンをひとりで育てていた。ある日、息子をちゃんと育てられないなら引き離すとソーシャルワーカーに言われると、生活保護を断ってその場を飛び出す。
しかし彼は家に着くと息子をリビングに残して、バスルームで慣れた手つきでクスリを打つのだった。お互い辛い過去を封印するために関わらずに生きてきた兄弟は、母親の死をきっかけに教会で再会する。兄は母親の遺産を弟に譲ろうとするが、弟は慌てて、もうクスリはやっていないと答える。兄はマーティンが心配だと告げ、2人は別れる……。(作品資料より)

<感想>悲しい過去を引きずり、社会に順応できない兄弟を描いた社会派ドラマ。映画製作運動、ドグマ95の創設メンバーのひとり、トマス・ビンターベア監督が、福祉国家デンマークの知られざる貧困層の実態に焦点を当てた物語。
アルコール依存症の母親に育児放棄された3人の兄弟。上の2人は協力しあって一番下の赤ん坊の弟を育てていたが、弟は突然死してしまう。見ていても、突然死というよりも、赤ん坊を小さな兄弟に任せて、母親は酒びたりの売春婦だ。だから兄弟は弟の赤ん坊にミルクやおむつ取り換えくらいで、他の知恵はない。赤ん坊が夜に泣きやみ静かにしているので安心したのだろう。朝には赤ん坊は死んでいたのだ。かなり兄弟はショックだったと思う。特に兄の方は自分の愚かなせいで死なせてしまったことを悔いる。

大人になった長男のニックは、臨時宿泊所で誰にも心を開かず、体を鍛えることだけを趣味として暮らしていた。実は、暴力癖のある友人に売春婦の恋人を殺されてしまう。
一方、弟は重度の麻薬中毒に苦しみながら幼い息子マーティンを育てていたが、麻薬密売の罪で逮捕される。母親は2年前に事故で死亡。息子は孤児院へ入れられてしまう。息子の世話を兄貴に頼むが一度は断られる。

兄弟は母親の葬式で再開を果たすも、兄貴は、子供のいる弟に母親の遺産を全部譲ることにする。お金が入って嬉しそうに弟は、息子と買い物をして自分は折角遺産の大金が入ったのに、全部覚せい剤につぎ込むのだ。そして若い青年を雇い薬を売りさばかせる。いつか警察に捕まるのか、その前に自分が薬漬けになって死んでしまうのだろう。
ところが、刑務所の中で兄弟が出会うのだ。弟は麻薬売買の罪と覚せい剤の中毒で、兄貴はあの頭の変な男に自分の女を紹介して、その男が女を殺してしまった罪を被ってるのだ。弟はその後、刑務所のトイレで自殺。

兄貴は全てを話して釈放され、弟の息子マーティンを引き取りに行き、弟の葬式だ。自分が子供の頃に、赤ん坊の弟を死なせてしまったことを、もがき苦しみながら悩み引きずって来たのに。今自分が弟の子供を育てることになったことを決めた兄貴。血の繋がった甥っ子だ。これで今までの暗い過去から抜けだし、過去に失われた子供と、今愛する命を見出し、生きる希望を持てる最後に救われるます。まさに一筋の光が照らす、一人の男の再生の物語ですね。
2014年DVD鑑賞作品・・・18 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング