ユーロが売られているのか、安全な円買いに走ったのか解らないが、ロンドン市場で100円を切った。東京もニューヨークも軒並み、100程度になった。ユーロはドルやポンドに対しても安値をつけている。
ヨーロッパ統合の大きな理念は、第2次世界大戦後の厭戦気分を背景に打ち出されてものである。国家の壁を低くすることで、戦争の意味をなくすことを願ったのである。
まず何はともあれ取り組んだのが、通貨統合である。ユーロという、新たな通過を作り出した。通貨は統合されてても、財務内容は各国任せである。
国際通貨としての評価が求められたときに、それぞれの国の通貨が異ならない以上、どこかの国が支えどこかの国がその恩恵にあずかる関係になってしまった。ギリシャのような国が出ると、今回のような債務危機が起きる。恣意的によりかかると、ドイツなどは考えている。
何らかの対策をしなければならないが、ユーロとしての金融政策が取れない。共通国債の発行も意見集約ができないままである。
要するに、国家統合の途上にある段階で、噴出してきた矛盾である。いまさら加入国家を切り捨てることもできない。
今回の、ユーロ安は深刻な問題の入り口かもしれない。
そして日本の円が、結果的に高くなっていることが、TPP推進派の動きを加速させるであろう。もしくは新たな金融危機が起きるきっかけになるかも知れない。今回のユーロ安は、小さな問題とは思えない。