ロシアのプーチン(現首相あるいは前大統領もしくは次期大統領)の思惑が、今回の選挙で崩れ去った。大統領任期を延ばすための憲法改正も、与党の統一ロシアだけではできなくなった。
今回の選挙で、与党の統一ロシアは315から236へと77も議席を減らした。変わって、共産党が57から64に、公正ロシアが38から64へ、右翼の自民党が40から56へと伸ばした。
更に与党の統一ロシアは、地方で大きく得票を減らしている。豊かにな る中央に比べて遅れることへの不満であろうか。
プーチンは、選挙前に自らが次期大統領に立候補し、メドベージェフを首相にすると明言した。更に、選挙の不正を訴えてデモが行われている。火を放つなどして、400人もの検挙者を出している。
プーチンには、大統領になってやり遂げたい野望がある。ユーラシア連合と言われるものである。旧ロシア帝国の再現と、周辺は警戒する。本人は、東のEUと言い換えている。
通貨統合し巨大な経済圏を作り上げるのである。今回の選挙戦で、与党の位置は失われていないが、プーチン30%も減った議席に、ご機嫌ではない。
スターリンは、書記長に留まり情報を集中させて、秘密警察以上の粛清など行った。プーチンは秘密警察出身である。これまでも、幾多の暴力的な制圧や粛清を行ってきている。
今回の選挙はネットで、「統一ロシアはペテン師と泥棒の集団」というフレイズが、駆け巡った。財閥を潰したプーチンが新たな、財閥を築いたからである。
しかし、3月の大統領選挙では、有力な対抗馬がなくプーチンは、割れる野党を尻目に再選するであろう。
磐石の与党の基盤を失い、プーチンは今以上に国家主義を打ち出してくるであろう。前回の大統領時代と異なり、天然ガスなどの資源に頼った経済成長など、できるわけない。そのために、国家としての強さを前面に出してくるであろう。
周辺国家との紛争が、内政を引き締めることになる。日本の北方領土など、交渉すらすることがないだろう。格闘好きのプーチンの野望は、ロシアを豊にすることはないだろう。