民主党が、八ッ場ダム建設を最終的に決めた。理由があるなら仕方がないが、八ッ場ダム建設は、大型公共投資を見直し官僚と土建屋の癒着をなくし、無駄をなくするというものであった。八ッ場ダムはその象徴でもあった。
八ッ場ダムの必要性を打ち出したのが、国土交通省関東地方整備局の検討委員会である。中止した場合のほうが高くつくとの結論である。
民主党は、ダムに関する治水と利水の両面と、環境についての検討をするはずであった。そうした意味での公共投資の見直しであったはずであるが、官僚に押し切られお金の面からだけ、八ッ場ダムだけの検討結果である。その内容も大いに疑わしい。
ダムの必要性については、淀川方式といわれる、好例がある。淀川流域検討委員会は、ダム賛成派と反対派それに中間派の陣容で委員会を結成し、事務局を民間に任せたのである。2000年から209年までの9年間も時間をかけ、4つのダムの必要性を結論にした。
今回の委員会は、わずか4時間程度の検討しかなされていない。しかも、反対派の意見を聞いてはいるが、それだけである。
これほどの無駄な事業を野放しにしておいて、増税などといいだすのは、政党としての無力を曝け出しているにすぎない。
暫定税率も八ッ場ダムもそれに普天間も、選挙前に公約していたことである。公約違反は政治用語である。民間の言葉では、嘘つきと呼ばれる。
さらには、TPPも消費税も全く触れなかったことである。しかもこの2つは、党内を二分し意見集約もままならない。八ッ場ダムも党内の多くの反対者を押し切って、官僚の言いなりになっただけのことである。
民主党は、どんどん自民党化している。これでは有権者は選択のしようがない。木の葉隠の術ではあるまいが、民主党は次期選挙で保護色として自民党色を選択したのではないか・・・ そうすれば負けることがない・・・と訝るのは、いささか勘ぐりすぎか。