イラクから主力となるアメリカ兵が撤退する。アフガニスタンからも、2014年までに撤退すると、オバマがロードマップを出している。
中東から、アメリカが引き下がるのであるが、ベトナムと同じように敗北しての撤退である。決して勝利、あるいは何らかの目的を達成したわけではない。世界最大の軍事力をもってしても、中東の小国を思うようにできなかったのである。むしろすっかり混乱を作って、後を濁しての撤退である。
厖大な戦力と資本の投入で、アメリカはすっかり経済力も軍事力も削がれてしまった。現在行われている、ドイツのボンでのアフガン支援会議も、タリバンに相手にされず和平の道筋などどこにも見えていない。
そごすごとアメリカは下がるわけではない。アメリカは、国内経済の建て直しのために、東南アジアへとシフトしてきたのである。経済成長著しい、中国、インドをはじめとする国々に言い寄り始めた。
その最大の眼目が、日本とのTPP交渉でありASEAN諸国とのFTA交渉である。アメリカも、太平洋を跨いだ隣国と言い出したのである。
そのためには、なんでも言いなりになる日本にはTPPを押し付け、厄介な中国には軍事的圧力を加えるのである。
中国への軍事的圧力とは、南沙諸島の領海問題をめぐって、フィリッピ ンやベトナムやシンガポール、台湾、インドネシアを抱き込むことである。
そして、2500人の兵士を置き、オーストラリアとの軍事的つながりを強くするのである。アメリカの目的は手段は変わっても、いつでも同じである。