ある晴れたバレンタインの日に、少女たちは姿を消した――
1900年、2月14日。セイント・バレンタイン・デイ、寄宿制女子学校アップルヤード・カレッジの生徒が、二人の教師とともに岩山ハンギング・ロックに出かけた。規律正しい生活を送ることを余儀なくされる生徒たちにとってこのピクニックは束の間の息抜きとなり、生徒皆が待ち望んでいたものだった。
岩山では、磁力の影響からか教師たちの時計が12時ちょうどで止まってしまう不思議な現象が起こる。マリオン、ミランダ、アーマ、イディスの4人は、岩の数値を調べると言い岩山へ登り始めるが、イディスは途中で怖くなり悲鳴を上げて逃げ帰る。
その後、岩に登った3人と教師マクロウが、忽然と姿を消してしまう…。
この度公開される4Kレストア版は、107分のディレクターズ・カット版。日本劇場公開116分であったオリジナル版から監督自身が再編集したものとなる。そのディレクターズ・カット版が公式のものとされている。
制作より50年。映画史に残る美しき謎が再びスクリーンによみがえる。(Bunkamura公式ウェブサイトより)
<2024年5月5日 劇場鑑賞>
実はこの映画、未見でした。題は聞いたことがあっても、内容もよく知らずに来ました。ここでちょうど都会に出た時に上映期間に当たると言うのは、きっと運命だったのです。そう思って見ました。
上流階級の美しい女性たちが通う規律正しい名門校。女生徒たちは、普段は教師たちにきびしく統率されていますが、それでも若い女性たちの精神は自由です。憧れの先輩がいたり、手紙を交換し合ったり。それなりに楽しく仲良く過ごしています。そして、聖バレンタインデーの日に行われる恒例の遠足。これがハンギングロックでのピクニックなわけです。ふだん羽を伸ばすことがあまりない女生徒たちはとても浮かれています。ほとんどの女生徒が、教師二人と運転手とともに出発しました。
ところが、です。なにかの地場でも発生しているのか、大人たちの腕時計が12時でピタリと止まってしまいました。そして、どんどん岩を登って行った生徒たちが忽然といなくなるのです。しかも、教師も一人。皆で探しますが、見つかりません。皆が諦めて帰るころはあたりは真っ暗になっていたため、在校していた校長先生などは真っ青です。過去にこんな時間まで帰らないということは決してありませんでしたから。でも、生徒たちと先生は、確かにいなくなったのです。
この映画はオーストラリア映画だからか、ハンギングロックには貴族とおぼしき人たちも偶然いました。同じようにピクニックに来ていたのですね。そのうちの青年二人は、女生徒たちを目撃していました。彼らは、後に警察(?)のインタビューを受けていましたが、彼らにもことの顛末はわかりません。この青年の一人が、後に一人の女生徒の死体を発見します。でも、それだけです。他の女生徒たちはどこにいるのか、なぜこういうことになっているのか。誰にもわかりません。
不思議な映画でしたね。女生徒たちが美しかっただけに「夢かな」とも錯覚するような。まさに”夢かうつつか”の世界でした。