不動産屋に紹介された住宅地から抜け出せなくなったカップルの運命を描いたサスペンススリラー。新居を探すトムとジェマのカップルは、ふと足を踏み入れた不動産屋で、全く同じ家が建ち並ぶ住宅地「Yonder」を紹介される。内見を終えて帰ろうとすると、すぐ近くにいたはずの不動産屋の姿が見当たらない。2人で帰路につこうと車を走らせるが、周囲の景色は一向に変わらない。住宅地から抜け出せなくなり戸惑う彼らのもとに、段ボール箱が届く。中には誰の子かわからない赤ん坊が入っており、2人は訳も分からないまま世話をすることに。追い詰められた2人の精神は次第に崩壊していき……。「ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグと「グリーンルーム」のイモージェン・プーツが主人公カップルを演じる。プーツは第52回シッチェス・カタロニア国際映画祭で最優秀女優賞を受賞。(映画.comより)
<2021年3月14日鑑賞>
こ、怖い、怖すぎる。誰ですか、こんな恐ろしい不条理劇を思いつくのは。どんな思考回路(笑)。怖かった、本当に胸に重い石が乗ったような感覚で、体力の弱っているときだったら心臓が止まってしまうかと思うほど。
若い二人の恋人同士は、これからに向けて新居を構えようか、と思っています。まだ先のこととは思っていますが、ふと立ち寄った不動産屋さんで「郊外って、想像なさるよりいいんですよ。一度見るだけでも」と言われて「まぁ見るだけなら」と、営業マンの車の後ろを彼女の車でついてゆきます。そしてたどり着いた住宅街。見渡す限り、同じ家がずらっと並び、見分けがつかないため番号が振ってあります。今日見せてもらったのは「ナンバー9」の家。まぁそこそこ広く、子供部屋もある(これが最初から男の子の設定。ちょっと気色悪い)。庭も、まぁ納得できる広さできれい。冷蔵庫にワインとイチゴが用意されていたけど、二人は遠慮。でも、ふと気が付くと営業マンが忽然といなくなってる。「え?なんでいなくなるの」「失礼な奴」と思いながらも、「まぁいいや。帰ろう、帰ろう」と自分たちの車に乗り込み、出発。しかし、どこまで行っても同じ風景の住宅街。行けども行けども抜けられません。そしてふと見ると、そこは「ナンバー9」の家。あんなに走ったのに、なんで?運転を変わっても、もちろん同じ。そのうち暗くなる、ガソリンが尽きる・・・。
庭師だった彼(ジェシー・アイゼンバーグ)は梯子を持っていたので、屋根に上って見たり。でも、ず~~っと同じ家が規則正しく並んでいるだけで、その向こうは見えない。朝日のほうに向かってひたすら歩いても、風景はまったく変わらない。そのうち庭の芝生が変だと気付いたジェシーが掘ってみたりするけれど、なんてことはなく。でも、なんかある気もするので、毎日掘り続けたり。携帯はもちろん、ずっと圏外。でも、家に電気は付く、シャワーは出る、トイレは流れる。モデルルーム(?)だからベッドやテーブルもある。生活できちゃうわけです。食べ物?知らない間にダンボールで届きます。同じようなものばかりですけど。
とにかく、気色悪いことこの上ない。こんなことが最後まで続きます。急に話が展開したりもしないのです。気力と体力を要します。気の弱い人はやめておいたほうが賢明かと思います。こんな話、いっぱし見れる映画に仕上げてしまう人って、天才だな。