田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

とらわれて夏(Labor Day)

2014年05月15日 08時10分42秒 | 日記

 「JUNO ジュノ」「マイレージ、マイライフ」のジェイソン・ライトマン監督が、過去にとらわれた男女が障害を乗り越えて愛し合っていく夏の5日間の出来事を、13歳の少年の視点から描いたドラマ。9月はじめのレイバー・デイ(労働者の日)を週末にひかえたある日、アメリカ東部の小さな町で暮らすシングルマザーのアデルと13歳の息子ヘンリーは、偶然出会った脱獄犯のフランクに強要され、自宅に匿うことになる。危害は加えないと約束したフランクは、アデルの家事を手伝い、ヘンリーには野球を教えて過ごし、ヘンリーはそんなフランクを次第に父のように慕うようになるが……。アデル役に「愛を読むひと」のケイト・ウィンスレット、フランク役に「ノーカントリー」のジョシュ・ブローリン。原作は、J・D・サリンジャーとも同棲していたことのある女性作家ジョイス・メイナード。(映画.comより)

 

 

 個人的にはよくできた映画だと思いました。アメリカでは不評だったらしいですね。まぁ、男と女でも受け取り方も違うでしょうしね。それにしても、ジョシュ・ブローリンのなんと芸達者なことよ。なんでもこなすんですね。情けない男や悪人、熱血正義漢からこ~んなロマンスまで。しかも、今回はちゃんと脱獄犯っぽく、粗野な感じで登場します。大したものです。

冒頭は、何があったかの説明はなく、ただ神経を病んでいるらしいシングルマザーのケイト・ウィンスレットと、そんな母を一生懸命守ろうとする13歳の息子ヘンリーが描写されます。なかなか通常生活がうまくいかない母を助けるため、「一日夫券」なるものを作って、朝食をベッドまで運んだりする息子の健気な姿。思わず、「私も病みたい」と思ったのはいけないことでしょうか。

離婚した父親は、元秘書だった女性と結婚し家庭を持っていますが、向こうにも同年代の連れ子がいたりして、皆とうまくやろうと一生懸命なわりには空回りしているようです。

ケイトは働いている様子もなく、どうやら生活保護を受けている様子。そんな母子が、クーポンを換金してお金が入ったのでスーパーに買い物に行った際に事件は起こります。

ヘンリーが母親から離れて書籍売り場にいたところ、トイレから男が出てきます。怪我をしている様子。そして、「車に乗せて欲しい。あの女性が連れか」「僕のママだよ」「そうか。協力してくれそうだ」そう言ってケイトに近づき、脅すようにして車に乗り込みます。そして、「君たちに危害を加えないから、少し休ませてほしい」と申し出るのです。こんなシチュエイション、怖いでしょうね。映画を見ている私たちは、ジョシュは悪い人ではないってわかっているからいいけど、実際はどんな凶悪犯かわかんないですものね。

それにしても、体格はか弱くないのに、いかにも繊細そうなケイト。うまいですねぇ。ジョシュが「協力してくれそうだ」と言ったのがわかるような気がします。これ、私だったら「あ、あの女か。やめておこう」とか言われるのかな、と少し想像してしまいました(笑)。

家に上がり込んでからのジョシュ。最初こそ強面ですが、徐々に心をほぐしてゆきます。殺人犯の脱獄囚であることがテレビで再三放映され、ピンと張りつめた緊張の中、縛り上げたケイトに自作の料理を口まで運んで食べさせるジョシュ。な~んにもしてないのに、ぐっと寄った映像のエロチックだったこと。

この映画、実はベッドシーンもありません。キスでも2・3回くらいです。それなのに、半ばまで本当に画面から溢れんばかりのエロスを垂れ流しています。こんなに描けるものなんですね。監督、うまいですね。最初からこんなに「危害を加えない人」ってわかってたら、私も是非(笑)。

多分、この家に入った瞬間に、普通ではない荒れように、ジョシュは何かを感じたのです。それで、放っておけなくなった面もあるのではないかと思います。やっぱり壊れそうな女性って、魅力的なんですね。ちょっとうらやましい。

息子に野球を教えるわ、家や階段の修理をするわ、料理をするわ、近所のおじさんが持ってきた食べきれない桃を上手にピーチパイにしてくれるわ(このレシピを教える際、3人でパイ生地や桃の砂糖漬けをこねる様子もまたエロい)、至れり尽くせりです。素晴らしい!薪の数を業者にごまかされていたことまで発見するのですから!

さてしかし、周囲は警戒態勢が敷かれている中、外にも出れない生活がそうそう続くことはありません。なんとかして前に進もうとします。

きっちり計画された逃亡生活。はたしてうまくいくものなんでしょうか。本当なら、ここからがもっと緊張するべきなんでしょうが、なぜかケイトとジョシュの愛が定まってしまうと、話が一気に緩んでしまいます。やはり話の根幹が男女の駆け引きだったのでしょうか。話の視点は息子のヘンリーだったはずなのにね。

しかしそれは、私が長い人生経験から「そんなのうまくいくはずないわ」と最初から冷めていたからそう思っただけかもしれません。

その逃亡がうまくいったかいかなかったかは別として、映画は最後の大オチを大変うまくまとめてあります。不意に登場するトビー・マグワイア。予想できる平凡なオチという見方もできるとは思いますが、私は好きです。

人生って捨てたもんじゃないんだな、って、ここで思ってしまう私って、かなり変かも(笑)。

 

コメント
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