<ネタバレあり>
ウディ・アレンが何年も温めていた脚本らしいですね。私、自分がバカだからか、「アニーホール」が理解できなかったのです。なんだか退屈で。それで、今回の作品もちょっと不安だったのですが、興味もあったので鑑賞してみました。
結論から言うと、「アニーホール」よりは楽しめました。自分が歳をとったからかもしれません。確かに主人公の男性は、理屈っぽく悲観的で、何に対してもうだうだと文句を言います。多分、私なら耐えられないでしょう。
しかし、この映画で相手役をするエヴァン・レイチェル・ウッドがいいんです!若くてかわいいのは当然として(アレン映画のミューズですし)、主人公に「尺取り虫並みの頭脳」などと言われながらも、難しいことは軽~く受け流し、そのくせ彼が言ったことは結構覚えてる。使い方を時々間違いながらも、知らない人からするとすごい知識人に見えたりする。
彼女がとことんキュートで、彼を運命の人だと思い込んでも「そんなこともあるかも」って思わせる。実際、すんごく年上で理屈言いの主人公と結婚しても、本人が幸せって思ってるから、なんだか幸せそう(当たり前か)。主人公も彼女のことをバカにしつつも、新しい家族を得てまんざらでもなさそう。
話がここで終わってもべつによかったとも思うのですが(笑)、まぁ映画ですから、ひと波乱起きるわけです。
しかし、基本的にはおもしろかったのですが、いくら映画だからとはいえ、お話がトントン拍子に行きすぎな感じはしました。まぁ、それを楽しまなきゃいけないんでしょうが・・・。
まず、NYの真ん中で(真ん中だからか?)、若くてかわいい女性が、偶然一人暮らしの初老の男性に「なにか食べさせて」と嘆願する?そりゃ、普通の男性なら「ラッキー!」と思って入れるでしょ、家に。
で、そのまま居着く?その上、運命の人だから結婚してって言う?るんるんで新婚生活を送る?そのうち彼女の母親が上京してきたな~と思ったら、彼女には芸術の才能があって、あっという間に写真家として成功して二人の男性をゲット?!そしたら次に父親も上京してきて、いろいろしている間に、とあるバーでゲイの男性と知り合って、自分がゲイであることに目覚める?!
そのうち彼女(エヴァンね)はハンサムなイギリス青年に一目ぼれされて大恋愛。夫である主人公は「この日が来ることはわかっていた」と、彼女と別れるけれども、飛び降り自殺を試みて、落ちた所を歩いていた女性と今度はfall in love?!
書きならべるとばかばかしくなってきますよね(笑)。そんなに簡単に女性にもてるのなら、この主人公、もっととっくに彼女がいたとも思うし(いたのかもしれないけれど)。
映画を短くまとめようとしすぎたのか、あるいは内容を詰め込みすぎたのか。
ともかく、夢を見させてもらうにも、あまりにものごとが性急すぎてついていけませんでした(笑)。
主人公と女性の話だけでも、よかったんじゃないかなぁ・・・。