今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

殺人なき社会を

2008-11-27 10:46:25 | 幸福の追求
 元厚生事務次官の山口剛彦氏夫妻と同吉原
健二氏の奥さんが刺殺された。衷心よりご冥
福をお祈りしたい。言語道断の卑劣な今回の
事件は、社会全般にわたり恐怖心を与え、残
念至極なことである。
 犯人の小泉毅容疑者(46才)は自首した。
動機は、34年前に愛犬が保健所で処分され
たことに対する仇討ちだと本人はいっている。
しかし、事実は「その犬が客や通行人に吠え
て手に負えなくなったために小泉容疑者が学
校に行っている間に父親が保健所に持ち込ん
で処分してもらった」ということである。こ
の事実を知っての犯行だったのであろうか。
それとも知っていれば今回の犯行はなかった
のであろうか。いずれにしても犬などの処分
等の具体的な行政判断は各地方の自治体の保
健所がしているが、厚生省はそれらの保健所
などを指導する立場にある。今回の凶行の
対象になった二人の次官は、犬殺処分の行政
を一切経験していないという。愛犬の死とい
う事実に対する怒りがマクロに膨らみ最終的
に厚生省の事務的なトップにまで行き着いた
結果の凶行なのであろう。
 一方、「大学に行って官僚が悪だと知り、
いつか襲ってやろうと思っていた」と供述し
たと報道されている。この報道が事実だとす
れば、政治、行政に対するテロの一面があっ
たのは否定できない。個人的、公的両面に対
する怒りがイビツにミックスされた狂気の蛮
行なのであろう。一見すると具体的、客観的
に納得できない、意味不明の動機による犯行
である。いずれにしても常識外の凶行である。
これに類する事件が今後、増えるかも知れな
い。嫌な世の中になってしまった。
 公安は、組織的なテロより、一匹狼のテロ
を恐れていると報じられている。さらに、そ
れ以上に意味不明の動機なき動機によるテロ
の色彩を含んだ凶悪事件が増えるとすれば公
安も警察もお手上げだろう。
 「誰でもいいから人を殺したかった」とい
う言語道断の凶悪事件が続発している。これ
らの事件の報道を見聞するたびに感ずるのは
学校教育はどうなっているのか、という疑問
に突き当たる。14、5年前であろうか、日
教組に入っている中学の先生と「殺人」につ
いて話をしたことがある。その時、ブッダは
人間として第一番目に守らなければならない
のは、「人を殺すな、殺させるな」というこ
とである。仏教の不殺生観は間違いのない教
えである、と野僧は主張した。これに対し、
その先生は、その先生達のカリスマ的な教育
評論家の教えを主張した。「殺人」を無批判
的、一方的に悪いと教えることはできない、
という。その理由を何度も聞き直したが、最
後まで納得できる説明を聞くことができなか
った。その後、あるテレビのワイドショーの
中で、その教育評論家が出ていた。キャスタ
ーが、「殺人」を学校で教えることはできな
いのか、と聞いていた。その評論家は一方的
に「殺人は悪である」と、子供に教えること
はできない、と答えた。先に中学の先生から
その話を聞いていたので、驚かなかった。そ
のキャスターは「その理由は何ですか、どう
して教えることはできないのですか」と続け
て聞いた。しかし、説明らしい説明はせず、
意味不明のことを主張するだけだった。その
時、このような考え方をする評論家のどこが
先生達のカリスマ的な存在なのか疑問に思っ
たものである。
 マスコミは勿論のこと、教育界も真剣に殺
人否定のキャンペーンを展開すべきである。
それに反対する人はいないはずである。官僚
ばかりでなく、政治家や一般人(家族も含む
)も意味不明のテロのような事件に巻き込ま
れる不安を払拭すべきであると考える。人命
尊重の社会としなければならない。
   (資料は読売新聞、北海道新聞参照)

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