今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

温暖化対応住宅について

2010-01-27 11:16:28 | 環境
 「Aホームズは、一階部分をほぼ柱だけにして駐車場とし
て使う3階建て住宅の販売に力を入れている。07年の販売
当初は狭い敷地でも採光や通風を十分に取れる点をアピール
してきたが、最近加わった新たなセールスポイントは『水害
に強い』だ」という記事が読売新聞1月19日朝刊に掲載さ
れた。「環境新大陸・適応する」にである。
 「一階が駐車場だけなら、水害があっても家財道具は被害
を受けない、という強みに気付いた」、「このタイプの住宅
は前年比約二倍のベースで売れている」とのことである。
 これも環境悪化の時代に向かう対応住宅の一つであろう。
ただ、一・二の疑問点がある。第一に、その住宅が鉄筋コン
クリート住宅か、木造住宅かということがハッキリ分からな
い。「一階を柱だけ」というのであるから、木造住宅の可能
性が高いと思われる。しかし、鉄筋住宅であれば理想的であ
る。木造であれば、台風や竜巻に耐えられないのではないか、
という疑問である。
 早速「Aホームズ」のHPを見た。しかし、その住宅のピ
ーアールの部分を探すことができなかった。残念なことであ
る。温暖化、環境悪化の対応住宅としての重要性をもっと前
面に打ち出すべきではなかろうか。
 野僧の云いたいのは、竜巻にも耐えられる住宅が必要だ、
という一点にある。当然、台風にも耐えられる。
 インターネットで鉄筋住宅を検索しても、高級住宅しか出
てこない。一般人の手が届かないものばかりである。そうで
はなくて、庶民も取得可能な低価の鉄筋住宅を考案してほし
い。同じ坪数でも何種類かから選択できるように選択幅を揃
えるべきである。その中に高級住宅も含めればいい、という
ことである。
 温暖化、環境劣化に対応できる鉄筋住宅は、最大のビジネ
ス・チャンスである。「温暖化対応住宅」、「環境劣化対応
住宅」というキャッチ・フレーズを前面に出して、一番先に
ピーアールする会社はビッグ・チャンスを手にいれることが
できるだろう。 

誤解されている「小の三災」

2010-01-20 01:53:32 | 幸福の追求
 今年も神戸大震災の起こった日が来た。6434人のご冥福を祈る
のみである。それにしても大自然の猛威を感じざるを得ない。人力は
微力である。現在の地球は不規則になっている。温暖化の現象が顕著
になっている。一言でいえば、人類の生存に適さなくなっている、と
いうことである。それを環境劣化という。と同時に人類の生存はいつ
まで続くのか、という疑問がわいてくる。世界全体が洪水に襲われ、
竜巻も多発するようになった。これまで30年か40年に一度おこる
かどうかという現象が一年に何度も世界中で起こっている。これが現
実である。好きとか嫌いという問題ではない。ブッダは2500年も
前に、今日の到来を仏典で説いている。いつかは人類もこの地球上か
ら消滅する時がくると云っているのである。それを諸行無常、諸法無
我という。その人類が滅亡するプロセスを「小の三災」という。病気
と飢餓、最後に戦争(闘争)で人類は滅亡するとブッダは説いている。
 一方、我々の属している天の川銀河には1000、宇宙全体では1
兆の宇宙人がいるとも説いている。ブッダはロマンと夢も語っている。
人類は悲嘆することはない、ともブッダは説いているのである。やが
て人類は大宇宙のどこかで、地球と酷似した星に転生するとも説いて
いるのである。人類がこの地球上から消滅しても絶望すべきでない、
と説くブッダの教えは重要である。
 いずれにしても、人類が滅亡するカウントダウンはすでに始まって
いる。これまで何十年に一度しか起こらなかった災害が、世界中で毎
年、何度も起こっているいるという現状を正しく認識すべきである。
 それが嫌悪感や恐怖心から忌み嫌われるのは当然といえば当然であ
る。しかし、野僧の粗本や本欄のブログで紹介、主張しているのは、
この地球上に人類が生存する限り、全智慧を出して、環境劣化に立
ち向かえ、と云っているだけである。たとえば、法華経の寿量品に、
名医が智慧を出し切って病気を治すことが説かれている。それと同じ
ことで、智慧をすべて出して、環境劣化に立ち向かえ、といっている
のである。自分の命は自分で守る以外に方法はない。政府に頼っても、
全世帯、全国民を守ることは不可能だからである。その意識の違いが
今後、最重要課題になるだろう。その認識の差が、問われることにな
らざるを得ない時期が遠からずくるのは間違いのないことである。
 卑近な例で恐縮だが、野僧の寺は札幌市の中心部(大通りのテレビ
塔から直線にして500mの地)に位置している。言葉を変えれば、
熱の塊の地といえよう。札幌市内では温暖化の影響を一番最初に受け
る地でもある。また、五男すべて仏教僧侶でもある。それらの事情か
ら、札幌市内の郊外の安全な地にもう一ケ寺、建立したいと計画して
いる。人類存在の最後まで、正しいブッタの教えを説く寺(根本道場)
が必要だと思うからである。そのため一昨年350坪の土地を購入し
ている。しかし、小の三災が本格化するのは2050年頃になると思
われる。よく考えてみれば、あと40年しかない。それでも新寺建立
してブッダの正しい教えを引き続いて説いてもらいたいと思うからで
ある。このように、野僧は絶望していない。
 野僧は絶望だけを説いているのではないということをご理解いただ
きたい。恐らく、22世紀を迎えられるのは5%ぐらいだとしても、
である。

命がけの「キャピタリズム」

2010-01-12 07:13:43 | 幸福の追求
 マイケル・ムーア監督の「キャピタリズム」(資本主義)
を見てきた。これは最高のドキュメント映画といえよう。サ
ブプライム・ロ-ンによって利益を得たのは1%の人達で、
99%の大衆は大損したという内容である。皮肉を込めたコ
ミカルな面もあり、見ている人を飽きさせない。
 サブプライム・ロ-ンによって家を差し押さえられゴース
トタウンと化した街の様相は壮絶である。6京円(60、0
00兆円)という世界中の金が米国に殺到した。本欄でも指
摘したように、その6京円は気化して雲散霧消したはずがな
い。損した人がいるということは、逆説的には得した人達が
いるはずである。そのカラクリを見事に描き出している。す
なわち、一生かかつても使いきれない金をもちながら、なお
も貪欲に金をほしがる世界中の1%の人達のために99%の
人達が泣いている現実を痛烈に描いたものである。
 この世界の現状を報道しないマスコミも同じ穴のムジナと
いわれても仕方ないのではなかろうか。自分さえ良ければい
いというのでは世界中から正義は消えることになる。
 マイケル監督は、「これが最後の作品のつもりで取り組ん
だ」というのもうなずける内容である。同監督がブッダの教
えを知っていれば、世界の理想的な行く末を主張できたはず
である。理想世界になれば、「金銀などの宝石が散在してい
ても、誰も見向きもしない」時代が来るというブッダの教え
は間違っていない。