今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

西沢潤一先生の死を悼む

2018-10-30 10:20:03 | 幸福の追求

 元東北大学の学長だった西沢潤一先生が、10月21日に死去したと

報じられた。誠に残念である。野僧の最も尊敬する学者の一人だった。

先生は静電気誘導トランジスターを開発し、半導体レーザー、光ファイ

バーなどの光通信の3要素を考案し、「光通信の父」といわれた。

特に有名なのは、光通信を日本で特許申請したのに、特許庁の認識不

足(?)で、特許申請が却下された。それとほぼ同じ内容の申請が米の

特許庁に他人の誰かが申請して米で特許が認められたいきさつがある。

また、光通信を日本の学会で発表したとき、出席者の中から嘲笑の声が

聞こえたといわれている。「光で通信することなど不可能だ、駅弁大学

の先生は何を云っているのか」というのが理由だったと伝えられている。

そのために日本は何千億円という特許料を損したともいわれている。

これらのため経団連の会長だった土光氏と西沢先生が何回か会談し、問

題点と対策を話し合ったのは有名でもある。

 特に野僧が西沢先生に注目したのは、著書「人類は80年で滅亡する」

西沢潤一・上野いさ黄著(東洋経済新報社・2000年2月17日発行)

の中で、次のような記述があったからである。

 「日本エネルギー経済研究所が示している大気中の二酸化炭素濃度と

その排出量の推移を見ると、その現在値は約0.036%で、3%に

なる時期は西暦2080年頃になる。この値の根拠は過去の推移を前

述した最小二乗法を使って分析すると約50年で10倍になっている

からである。そこで、生理学者に話してみると答えは明快で、

「3%では窒息する」という結論であった。

ちなみに3%は、30000PPmであるが、二酸化炭素濃度の排出

量が年々増大しており、2080年より前に達する可能性がある。現状

では、世界の排出量を0にすることは現実的には不可能と思われる。

 一方ブッダは、「996人の賢者が現れて地球と世界を救う」とも説い

ている。西沢先生は、その一人だったと思っている。学者諸氏は勿論で

あるが、他の賢者として、料理研究家のコウケンテツ氏、俳優であるが

世界中を旅した関口知宏氏、200名山を踏破した田中陽希氏などが色

んな意味で、賢者の役をはたすことができるものと思っている。

 いずれにしても、西沢先生の逝去は残念でならない。衷心より死後の

安寧をご祈念いたします。

 


宇宙移住はできない!

2018-10-26 23:05:11 | 幸福の追求

 「月旅行」が話題となっている。また「宇宙移住はできるか?」という特集を

NHKは放映した。いかにも宇宙移住が可能であるかのように報じられている。

本当に宇宙移住が可能なのか検証してみよう。

(1)可能となった場合、何人くらいを対象としているのか。4.5人か、何

万人なのか、不明である。映画「猿の惑星」のように4.5人での移住

であれば可能かも知れない。しかし、それとて何年も定住することは不

可能である。何万人、何十万人という規模での移住は絶対的に不可能で

ある。衣食住のすべてをその星で造ることはできないからである。菜っ

葉の一つや二つ造ったとしても、宇宙移住の条件を満たすものではない。

(2)衣食住の必要物資を地球から定期的に運び込むことを前提としているの

であれば、移住とは云わない。『火星の大地の穴の中で生活する』という

のは、原始的な発想でトンチンカンである。衣食住の必要物資をすべて

火星で造るというのが原則である。建設機材や重機などを地球から運ぶ

こと自体、不可能と云わざるをえない。

(3)月や火星の昼と夜の温度差は、人間が生存できないことを意味する。現

実離れした発想である。

(4)地球から火星までの飛行時間を短縮できる構想は可能であろう。しかし、

何万人乗りなのか判然としない。人数が増えれば、飛行時間も変わって

くるのではなかろうか。

(5)我々の住む太陽系宇宙の中で、人類などが生存できるのは地球だけである。

太陽と地球の距離関係、太陽と地球の大きさの関係など奇跡的な条件関係

の上で我々は生存できているのである。

(6)太陽系宇宙の属する我々の天の川銀河系宇宙には、人類に似た生物が生存

している太陽系宇宙が1000個あるとブッダは説いている。言葉を代え

れば地球のような星が1000個あるという意味である。天の川銀河系宇

宙には太陽のような星が1000億個あるとも科学は説いている。したが

って地球に似た兄弟星が1000個あっても不思議ではないだろう。宇宙

人が全宇宙には1兆いるともブッダは説いている。地球や人類は孤独では

ないと信じている。

(7)これまで地球人が宇宙人と云ってきたのは、前者の兄弟星のどこかから地

球に来たのであろう。野僧の計算では地球の隣の兄弟星まで、人工衛星で

約70年かかると計算している。往復で140年かかることなる。まして

や有人宇宙船の場合、もっと時間がかかることになる。すなわち人間が隣

の兄弟星に行くのは不可能だと思っている。

(8)ところが宇宙人研究家は、地球に来る宇宙人は人間に似たロボットだ、と

云っている。その理由は、米国のロズウェルに墜落した宇宙船にはトイレ

とキッチンがなかったからだと云う。恐らく、宇宙のエネルギーと太陽光

などで生命を保ち、宇宙船の燃料も同様ではなかろうか、と主張している。

それが本当であれば野僧の考えでは、そのロボットの内容は鉄とプラステ

ィックで造られたのではなくて、クローンのようにして造られた人間ロボ

ットではないかと推測している。

(9)時間がない。10月8日、IPCCは、2030年には平均気温が1.5度

平均気温が産業革命より上昇すると云っている。楽観主義の科学者は2度で

も人類は生きられる、と主張している。しかし、10月25日現在の台風

26号は秒速71mをサイパンなどで記録している。すでに人類が生きてい

ける限度を超えているかのような実情である。以前から云われているように、

台風の竜巻化にすでになっている。今後、台風などはさらに激化するものと

考えざるを得ない。マスコミはこのことを報道しないのは、公器としての義

務を放棄していると云われても仕方のないことであろう。マスコミは我々の

子孫を危険の中に突き落とす気なのでろうか。それは人類に対する一種の犯

罪行為だと云われても仕方ないのではなかろうか。

(10)人類に残された時間はそう長くはないと云わざるを得ないであろう。

もっと足を地につけた賢明な人類の延命策を模索してほしい。「あと300

年もすれば宇宙移住できるのではないか」という科学者の感覚が分からない。

地球上での延命策を真剣に考えてほしい。


賢者にもどったIPCC!

2018-10-12 09:18:34 | 幸福の追求

 IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)は8日、「2030年には産業革命前からの

地球の平均気温上昇は1.5度に達する」と公表した。その委員たちは元来、賢者集団だったので

ある。委員は各国政府が選任していた。言葉を変えれば政治家の代弁者的な一面があったことは否

定できなかったと思われる。すなわち科学者的な数値よりも、政治的な妥協の数値が優先されてい

たのが事実ではなかろうか。8日の発表は禁断の壁を破って真実を語り、対策の緊急性を模索し始

めたと理解してかまわないと思っている。

 元々、IPCCの委員間で人類が存亡の危機に陥っていることは認識されていた。

 「メディアで気候変動の報じられぬ日は一日とてない。天候や非日常的で極端な異変に関する

報道だけではない。大気組成や海水水位の上昇、規則正しくあるべき四季の乱れ、その他私たち

の不快な異変など、環境変化を巡る問題が多発している。政治家や圧力団体はこうしたニュース

を深刻に受け止めている。メディアで報じられる現象の解明に力を入れる科学者は多額の研究援

助資金をせしめつつある。国際機関に属する委員は、母国へ悲観的なレポートを送り、国連ビル

の廊下は危機感がみなぎって、ぴんと張りつめた雰囲気をかもし出している。(「人類は絶滅す

る」マイケル・防ルター著。佐々木信雄訳。朝日新聞者)参照」。

 「地球は現在人間の体に例えるならば、きわめて短期間に暴飲暴食した結果、消化不良やアル

コール中毒に陥った重傷の病人である。その生命は、早急に残滓を除去しコレストロールなどを

落として循環系に正常さを取り戻さないかぎりその保証がない。その処置は急を要しているが、

自力での回復は不可能になっていると判断される」(「人類は80年で滅亡する」西沢潤一・

上野勲いさ黄著。東洋経済新報社。参照)

 (「日本は空前の繁栄に酔っているが、近い将来『船上の金のやりとり』という諺どおりにな

るだろう。いくら儲かったといって喜んでいても何もならないからである」『死後の世界を突き

止めた量子力学』コンノケンイチ著。徳間書房。参照)

 これらの事実を知りながら、IPCCの委員たちは地球環境劣化の真実を公表してこなかった

のである。だから愚者の集団と揶揄されたのである。

 今や「これまでの人類史は正しかったのか、間違っていたのか」、「科学は勝利したのか、失

敗したのか」という検証の段階に入りつつある。さらに「人類はどのようにして延命するのか」

などという具体的な方法論を検討する段階に入っている。「月旅行」など、どうでもいいことで

ある。それは自由の範疇であって、人類の未来とは何の関係もないことである。

 今後のIPCCに期待したい。