昔から地震、雷、火事、親父(台風の意味とい説がある)と云われる。世の中で
怖い物順を云う諺である。この中で、地震と人的行為は関連があるのか、地震と環
境劣化は関連があるのか、とつねづね疑問に思っていた。
というのは、仏教の根本定義として、縁起(えんぎ)がある。因縁生(いんねん
しょう)、縁生(えんしょう)、因縁法(いんねんほう)とも云われる。他との関係
が縁となってすべてのものは生起することを云う。たとえば、魚取りの網の一角に
魚が当たった時、網全体が揺れ動き、何らかの影響が出ることに例えられる。
地震といえば普通の場合、地殻と地殻との関連で地震が発生する場合が多い。し
かし人的行為が原因となって地震が起きることはあるのか、という疑問である。よ
く知られているのは、核実験をした場合も地震に類した現象が起こる。その観測に
よって核実験の有無を判定することは知られている。またはトンネル工事や石山の
一角を粉砕する際、小さな地震に似た現象が起こることも知られている。
これまで疑問だったのは、上記以外の人工的な行為と地震との関連である。大き
な意味からすれば、人工的な活動で環境破壊、環境劣化になっているが、その影響
によって地震が起こるのかという疑問だった。環境劣化の風水害などが激化してい
るが、地球内部の地震とは関係ないのではないか。いや、地底にも何らかの関係が
あるのではないのか、どちらが本当なのだろうか、という疑問である。
そのような思案の中で、「毎日新聞8月14日号」一面トップに「ガス採掘地 地
震多発」なる興味ある一文が報じられた。「場所は米南部オクラホマ州スティールウ
ォーター。同州のシェールガス掘削機は2017年4月時点で121基、前年比20
7%に急増した。低温を響かせ頁岩(けつがん・シェール)層に含まれる天然ガスを
吸い上げている。このシェールガスの採掘の副産物と見られる深刻な事態をもたらせ
ている。それは「誘発地震」だと思われるという。同州で地震の発生はまれだったが、
2008年ごろから急増。マグニチュード3以上は15年に907回、16年には
623回起きた。昨年9月には観測史上最大のM5.8の地震が発生した。専門家ら
は採掘で出た排水の地下への再注入が誘発していると見ているが、石油、ガス業界
は「関連はあるが、原因とまでは云えないと主張しているという。」
この記事が、野僧の疑問に対する全面回答とはならないが、環境破壊、環境劣化と
地震に何らかの関連がありそうだという啓示となりそうな気がする。