全国高等学校野球選手権の決勝を甲子園球場
で初めて見た。落胆と期待、絶望と希望という
両極端に激しく揺れるエキサイティングな好ゲ
-ムだった。7年前まで新潟に住んでいた私は、
これが最初で最後の決勝進出になるかも知れな
いという思いから急きょ応援に行った。
一回表に中京大中京の堂林選手の先制2ラン
がいきなり出た時は、ワンサイドケ゜-ムにな
るのではないかと思った。しかし、2回3回と
日本文理が一点づつ取り同点に追い付き期待感
がふくらんだ。
しかし、中京が6回に6点取り、7回に2点
取った時には勝負は決したと思った。
ところが、文理は7・8回に一点づつ取った。
その時点では時すでに遅しの感があった。その
差は6点である。文理のアルプス席で応援して
いた私は、「あと7点取れば勝てるぞ」と大声
で応援していた。しかしながら文理の追撃もこ
こまでだと私もスタンド全体もそういう雰囲気
に包まれていた。
運命の最終回になって早くも2アウトになっ
てしまった。あと一人で終わりである。9回に
自分の希望で再登板した堂林選手は2アウトま
でとりながら最後の一球を取れなかった。結局
3点をとられ降板した。さらに文理は一点を取
り、なおも一・三塁に走者がいた。スコア-は
文理9点、中京10点の一点差である。この時
点で球場内の雰囲気は一挙に頂点に盛り上がっ
た。ほとんどの観客は文理を応援しているよう
な感があった。両校の選手たちも鳥肌が立った
であろう。しかし、結果はあっけなかった。好
い当たりのライナ-が三塁手のグラブに吸い込ま
れてしまった。文理の追撃はすさまじかった。
文理は「試合に負けたが、勝負にかった」とい
えよう。どちらが本当の勝者なのか分からない
ぐらいの名決勝戦だった。今後、このような決
勝戦は恐らくないのではなかろうか。
この好ゲ-ムで感じたのは、両校の精神状態
である。初回に2点とった中京は、その時点で
ワンサイドゲ-ムになると思ったはずである。
また、6回に6点取った時点でも中京は勝った
と思ったはずである。その慢心が心にスキをつ
くったのではなかろうか。また、9回になって
あと一人、あと一球の難しさは精神状態の結果
としか思えない。その極限状態を云い現わして
いるのが「野球は2ダンから」という意味であ
ることが実感できた。「試合が終了するまで楽
観するのは禁物」である。「スコンスコン打た
れて投げる球がなくなる」のも精神状態の一つ
である。プレッシャ-であろう。「弱きを見て
あなどらず、強きを見て恐れず」という兵法の
基本は意味深長である。
中京はよく頑張った。文理は大健闘した。両
校の選手、関係者に拍手を送りたい。日本文理
は5年前に春の選抜でベストエイトに進出して
いる。今後、中越、東北、北海道などの雪国な
どの高校の活躍が楽しみである。駒澤大学苫小
牧高の優勝が起爆剤になっているのであろう。
頑張れ全国の高校球児。
で初めて見た。落胆と期待、絶望と希望という
両極端に激しく揺れるエキサイティングな好ゲ
-ムだった。7年前まで新潟に住んでいた私は、
これが最初で最後の決勝進出になるかも知れな
いという思いから急きょ応援に行った。
一回表に中京大中京の堂林選手の先制2ラン
がいきなり出た時は、ワンサイドケ゜-ムにな
るのではないかと思った。しかし、2回3回と
日本文理が一点づつ取り同点に追い付き期待感
がふくらんだ。
しかし、中京が6回に6点取り、7回に2点
取った時には勝負は決したと思った。
ところが、文理は7・8回に一点づつ取った。
その時点では時すでに遅しの感があった。その
差は6点である。文理のアルプス席で応援して
いた私は、「あと7点取れば勝てるぞ」と大声
で応援していた。しかしながら文理の追撃もこ
こまでだと私もスタンド全体もそういう雰囲気
に包まれていた。
運命の最終回になって早くも2アウトになっ
てしまった。あと一人で終わりである。9回に
自分の希望で再登板した堂林選手は2アウトま
でとりながら最後の一球を取れなかった。結局
3点をとられ降板した。さらに文理は一点を取
り、なおも一・三塁に走者がいた。スコア-は
文理9点、中京10点の一点差である。この時
点で球場内の雰囲気は一挙に頂点に盛り上がっ
た。ほとんどの観客は文理を応援しているよう
な感があった。両校の選手たちも鳥肌が立った
であろう。しかし、結果はあっけなかった。好
い当たりのライナ-が三塁手のグラブに吸い込ま
れてしまった。文理の追撃はすさまじかった。
文理は「試合に負けたが、勝負にかった」とい
えよう。どちらが本当の勝者なのか分からない
ぐらいの名決勝戦だった。今後、このような決
勝戦は恐らくないのではなかろうか。
この好ゲ-ムで感じたのは、両校の精神状態
である。初回に2点とった中京は、その時点で
ワンサイドゲ-ムになると思ったはずである。
また、6回に6点取った時点でも中京は勝った
と思ったはずである。その慢心が心にスキをつ
くったのではなかろうか。また、9回になって
あと一人、あと一球の難しさは精神状態の結果
としか思えない。その極限状態を云い現わして
いるのが「野球は2ダンから」という意味であ
ることが実感できた。「試合が終了するまで楽
観するのは禁物」である。「スコンスコン打た
れて投げる球がなくなる」のも精神状態の一つ
である。プレッシャ-であろう。「弱きを見て
あなどらず、強きを見て恐れず」という兵法の
基本は意味深長である。
中京はよく頑張った。文理は大健闘した。両
校の選手、関係者に拍手を送りたい。日本文理
は5年前に春の選抜でベストエイトに進出して
いる。今後、中越、東北、北海道などの雪国な
どの高校の活躍が楽しみである。駒澤大学苫小
牧高の優勝が起爆剤になっているのであろう。
頑張れ全国の高校球児。