今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

政府間パネル第四次報告書は最小数値で信頼できない

2007-02-04 12:39:55 | 環境
 国連「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)
は2月2日、第四次報告書を発表した。相変わらず、最
小数値しか発表していない。信頼できない数値である。
民間の研究機関のほうが、よっぽど信頼できる。
 たとえば、北極の海氷は、今世紀末の晩夏にはほぼ消
える、とIPCCは発表している。しかし、米国大気セ
ンターは、昨年末に、2040年には北極の氷はほとん
ど消える、と発表している。この数値は新しすぎて、I
PCCの検討対象にすらなっていない。
 サンマ、マイワシなどの魚類は「漁場が北上する」、
という程度のIPCCの発表である。これに対し、英国
やスエーデンなどの海洋学者の研究グループは、「今世
紀半ばまでに全種類の漁獲量が一割以下になる」、と発
表している。その結果、漁業は成り立たなくなり、漁業
は壊滅する、と発表している。すなわち、2048年頃
になると、われわれの食卓から魚が消える、といってい
る。
 さらに、海面の上昇の数値もIPCCの発表を信頼で
きない根拠の一つとなっている。米英などの研究チーム
は、IPCCの海面上昇の数値は、過小評価されている
と指摘している。IPCCは年間2.0ミリで海面が上
昇すると発表している。しかし、研究チームは、人工衛
星による観測で06年までに毎年3.3ミリで海面が上
昇していたことが判明した、と発表している。すなわち、
IPCCの数値の1.65倍の上昇率である。今回発表
されたIPCCの数値は、今世紀末には最大59センチ
海面が上昇する、といっているが、実質は97.35セ
ンチ海面が上昇することになる。一説では、グリーンラ
ンドの氷がすべて溶ければ6メートル海面が上昇すると
もいわれており、IPCCの数値は信頼できない。
 さらに、21世紀末の平均気温は、20世紀末より最
大6.4度上昇すると発表している。ここで問題となる
のは、平均気温が6.4度上昇しても、人類は生きてい
かれると誤解されかねない発表の仕方にある。一般的に
は、人類が生存できる地球の平均気温の上昇限度は、約
1.5度までである、といわれている。IPCCが発表
しているように、過去百年間の地球の平均気温は0.7
4度上昇している。それも、第3次の発表では0.6度
とIPCCは発表したのである。今回この数値を訂正し
ている。それは故意なのか、未熟だったのかということ
は推測の域をでない。平均気温の上昇率1.5度が人間
存在の限度であるとすれば、あと0.76度しか残され
ていないことになる。さらに厳密な計算をすれば、残さ
れた平均気温の上昇率はさらに少ない数値になる。最大
6.4度上昇すると平気な顔で発表するIPCCの各国
委員は、本当の科学者で構成されているのであろうか。
地球の平均気温が1度上がると、南極と北極の極地域は
3倍か4倍気温が上昇するといわれている。
 また、今回の発表で、初めて温暖化の原因は人間活動
に起因している可能性が高い、と認めた。しかし、そん
なことは10年以上も前から良心的な科学者は主張して
いたのである。素人の野僧でさえ、1998年に発刊し
た「地球成仏」の中で明記している。今更、そんなこと
を認める方がどうかしている。IPCCの各国委員たち
は、一般の地球人を無知蒙昧の輩とでも思っているのだ
ろうか。
 IPCCの報告書の数値は低すぎて信用できない。

「美しい日本」という前に映画「不都合な真実」を見よ

2007-02-02 00:03:17 | 環境
 阿部首相は施政方針演説で「『美しい国、日本』
の実現に向けて次の50年、100年の時代の荒波
に耐えうる新たな国家像を描くのが私の使命だ」、
と述べている。また、環境問題には全く触れていな
い。
 阿部首相は地球環境の現状認識をどの程度してい
るのか、環境問題の本を読んだことがあるのか、と
いう疑問を感じざるを得ない。それとも、首相とし
ての数年間を無事に乗り越えられれば、それで善し、
という「リップ・サービス」だけの意味なのであろ
うか。
 一方、1月24日(日本時間)に行われたブッシ
ュ大統領の一般教書演説では、「今後、10年間で
国内のガソリン消費を20%削減する」と明言して
いる。そして「地球温暖化という深刻な問題への対
処にも役立つ」と唱っている。これは重大なことを
意味している。ブッシュ氏が最初に戦った大統領選
挙の相手はアル・ゴア氏である。そのゴアの著作で
ある「不都合な真実」が映画化された。野僧も見て
きた。その中で、元大統領のゴア氏が環境問題で全
米各地を講演して回っているのを知ったブッシュ大
統領が、「あのゴアか゛」といって、せせら笑って
いる場面がある。ブッシュ大統領は環境問題を軽視
していた証拠である。だから京都議定書を拒否した
のである。そのブッシュ大統領が一般教書演説で「
地球温暖化という深刻な問題」といったのである。
マスコミ報道によれば、米国は京都議定書に調印す
るのではないか、といわれている。いずれにしても、
ハリケーンの「カトリーナ」によるニューオリンズ
市の壊滅によって、環境問題が容易ならざる事態に
なりつつあることを、ブッシュ大統領はようやく認
識したのではなかろうか。
 地球環境問題を取り上げたのはローマクラブなど
であるが、それ以前から米国の金融財閥は研究して
いたのである。環境問題の民間の研究期間として「
ワールドウオッチ研究所」を創設したのはロックフ
ェラー財団である。1974のことである。環境問
題のバイブルといわれる「地球白書」が最初に発行
されたのは1984年である。さらに「地球環境デ
ータブック」は1992年に創刊されている。それ
と並行するように、「アメリカ合衆国政府特別調査
報告書『2000年の地球』」がカーター大統領の
時に出されている。
 さすがに世界の金融財閥といわれるだけのことは
ある。100年先のことを考えていたのである。何
も知らなかったのは我々凡人だけである。世界の金
融財閥は一時的に世界支配を考えた時期があったと
いわれている。そのためには100年先の地球がど
うなるのか正確に知る必要性があったのであろう。
 しかし、現在は地球を元の健康体に戻すことは不
可能であると知っているはずである。すなわち、地
球人がこの地球で生きられるのは22西紀までであ
ることを知ったのではなかろうか。一説では、宇宙
ステーション(宇宙植民地)は、一部の人が生き延
びるのための避難所とすることを目的にしているの
ではないかとも言われている。
 何はともあれ、「美しい国・日本」というのであ
れば、阿部首相は、ゴア元副大統領の映画「不都合
な真実」を観るべきである。この映画は環境問題の
初歩的な内容である。しかし、観ないよりは観た方
が良い。全国会議員も観るべきである。
 正直にいえば、NHKがこれまでに放送してきた
環境番組の方が、ずっと進んだレベルの高い内容で
ある。
 2048年には、世界の漁業は壊滅すると、英国
やスエーデンの研究チームは発表している。すなわ
ち、われわれの食卓から魚が消える、という意味で
ある。その頃になると、宇宙食と同じような、チュ
ーブから絞り出したした食事になるのだろうか。
 「美しい国・日本」といえるのは、あと何十年後
までのことであろうか。孫の将来を考えると憂鬱に
ならざるを得ない。