今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

名古屋市長の南京大虐殺否定発言は恥ずかしい !

2012-02-23 04:51:26 | 戦争の加害者責任と被害者意識
「南京事件はなかった」、と20日に名古屋市役所を表敬訪問した中国共産党
南京市委員会の劉志偉常務委員との会合で、名古屋市長は発言したと報じられ
た。これに対し、中国新聞社は「市民感情が傷つけられた」、として両市の行
政当局の交流を当面中止すると報じている。(北海道新聞・毎日新聞)参照。

 その中で、河村市長は終戦時に父親が南京市にいたことを挙げて、「事件か
ら8年しかたっていないのに、南京の人は日本の軍隊に優しくしていたのはな
ぜか」と指摘した上で「南京で歴史に関する討論会をしてもいい。私は南京の
人に感謝している。互いに云うべきことを云って仲良くしていきたい」、とも
述べたとも報じられている。これに対し、中国江蘇省南京市の「南京大虐殺記
念館」の朱成山館長は、「でたらめな話」と強く批判しているとも報じられて
いる。

 またしても戦争無反省の亡霊が出現したと驚いている。日本人として恥ずか
しい思いである。上記の「南京大虐殺」の真偽論争は以前からあった。しかし、
各種の歴史上の大量虐殺論争を見ればわかるように、被害者側の主張がほとん
ど正確だということが後に証明されている。「南京にいた日本軍に中国人はや
さしかった」というのは、日本軍が恐ろしかった、という反面を意味している
のであろう。市長は幼かったから、その意味が分からなかっただけであろう。

 また、市長は2009年9月の市議会で南京大虐殺の死者数に関し、「いろいろ
調べた上で(云うと)、今まで言われてきたことには疑問がある」、とも発言し
たとも報じられている。姉妹都市の南京市に関連する名古屋市長の一連の発言
は、日中関係に悪影響を及ぼすのは確実であろう。困ったことである。

 現在、中国の人権問題が国際的に提起されている。しかし、市長がこんな発
言を繰り返しているようでは、日本人は中国を批判する資格がない。ましてや、
市長のような考え方の人が、もしも今後、国政に参加するとすれば、疑問を感
じざるを得ない。

小泉人気、アジアに通じず

2005-12-20 18:20:18 | 戦争の加害者責任と被害者意識
 東アジアサミットも終わった。首相が靖国神社
に参拝した結果、日中韓の首脳会談は、中韓の意
向で拒否された。何ともお粗末である。
 第一、先の大戦を真摯に反省することなく、逆
に肯定してきた日本政府と政権政党を支持してき
た日本国民の政治意識は低すぎる。同じ敗戦国の
ドイツとは対照的である。諸外国から、日本の経
済は一流、政治は三流といわれる由縁である。
 小泉首相は、あらゆる問題に真剣に答えること
なく、はぐらかしの答弁に終始してきた。いわば
「おとぼけ」のパフォーマンスで国民とアジアに
対処してきたのである。首相は今までの日本の政
治家にないタイプで、漫画文化を政界に持ち込ん
だ、といっていいであろう。その結果、国民受け
して先の衆議院選で大勝したのである。
 しかし、ついに耐震偽装問題で国民は大変な時
代に生きているのだ、という実感に気づきはじめ
た。一番深刻なのは、口車に乗せられて作ったホ
テルの経営者であろう。死活問題である。また、
マンションの住人も深刻な経済破綻に直面してい
る。何十年も残っているローンを払い続けなけれ
ばならない。その上、今後どう住生活を計画して
いけばいいのか分からない状況であろう。何とも
お気の毒な話である。
 「儲けるためには何でもあり」という経済意識
にもとずいてなされた耐震偽装問題も、世界中を
カジノにしてきた世界経済の必然的な流れの一環
であることを認識すべきである。漫画文化と年中
祭り気分の日本人は目覚める必要がある。すでに
日本は中国や韓国から相手にされていない。近隣
諸国から相手にされないのに、どうして世界中か
ら尊敬される国になれるであろうか。
 とぼけないで、小泉首相は靖国問題に対処すべ
きである。

首相の靖国参拝は「ドイツの大統領がヒトラ-の墓に参拝」するようなものだ

2005-06-23 23:45:53 | 戦争の加害者責任と被害者意識
 「小泉首相が靖国神社に参拝するのは、ドイツの大統領が
ヒトラ-の墓に参拝するようなものだ」というような意味の発
言をしたのは韓国の国会議員の一人である。
 さる6月19日(日)、午前7時30分からのフジテレビ
系列で放映された「報道2001」の中でのことである。日
本と韓国の国会議員のテレビ討論中でのことである。
 この発言は、靖国問題を端的に的を射たものである。われ
われ日本人には、太平洋戦争における戦争加害者としての責
任と謝罪の義務がある。
 また、靖国問題の根本の一つに、日本のこれまでの政権政
党が「先の太平洋戦争を悪いと思っていない」ことにある。
ただし村山内閣を除いて。すなわち、A級戦犯とか、B、C
級戦犯などという問題ではない。さらに、そういう考え方の
政権政党を支えてきた多くの日本人に対して、中国や韓国な
どは怒っているのである。そこを正確に認識しないと近隣諸
国との軋轢は永久に解決されないだろう。
 約600万人のユダヤ人を虐殺したヒトラ-ほどではないに
しても、日本軍のしてきた残虐な戦争行為は、大同小異とい
っても過言ではないはずである。
 それらの事実を考えると、まさに韓国の国会議員の発言は
正確な比喩である。
 近隣諸国に誠意をもって謝罪して、良好な国際関係を築く
ためにも、宗教色のない慰霊の施設を造るべきである。神道
という精神的バックボ-ンとしての宗教色こそ真の戦犯であ
ると、中国や韓国は考えていることを理解すべきである。第
一、「死んだら靖国で会おう」とか、「死んだら神になる」
などというような考えを、本当に信じているのだろうか。そ
れらは、軍国主義を推進するための単なる方便として使われ
てきたに過ぎない。幼稚すぎる。
小泉首相ばかりでなく、同じような考え方の首相に交代し
ても、この問題を解決しない限り、景気は良くならないだろ
う。ましてや、国連安全保障理事会常任理事国に、日本はな
れないだろう。

中国副首相の帰国と反省なき日本政府の無神経

2005-05-26 17:51:47 | 戦争の加害者責任と被害者意識
 「妊婦を捕まえてきて、銃剣で腹を切り裂き、
  胎児を取り出した」。
 「数人で女性を強姦した。強姦された女性は喜
  ぶ」。
 あなたの家族の誰かが、このようにされたら、
あなたは許せるだろうか。これは日本軍が中国で
してきた実話である。悪行の限りを尽くした日本
兵は「鬼」といって中国の人々から恐れられたの
である。
 口先だけで先の大戦を反省しているかのような
ことを言いながら、戦争責任者を祀る靖国神社に
参拝し、歴史を歪曲した教科書を認める文科省(
日本政府)の実態は、二枚舌政治、欺瞞政治と中
国に受け取られているのであろう。だから、「実
際の行動で示せ」と中国から追求されるのである。
 また、小泉首相は、「二度と戦争をしないため
」に靖国神社に参拝する、といっているが、相反
する言動である。一方では戦争責任者を崇拝賛美
し、かた一方では平和を説くようなものである。
そんな欺瞞性を嗅ぎ取る臭覚を、戦争被害国が持
っていないとでも思っているのだろうか。
 上記の二例の実話は、元日本兵として出兵した
仏教僧侶から、約25年前に私が直接聞いたもの
である。いわゆる体験談である。ただし、妊婦の
腹を切り開いたのは誰だったのかは定かでない。
しかし、少なくともそのような行為を止めるよう
に訴えるべきだったのではなかろうか。その僧侶
が何宗であるかは、諸氏の推測に任せよう。
 「殺すな、殺させるな」という不殺生戒を第一
にかかげる仏教の僧侶から、このような話を聞か
されるとは思いもしなかった。その時、このよう
な僧侶がいたのかと、しげしげとその住職を見つ
めたことを今でもはっきり覚えている。と同時に、
この人には仏教信仰というものが、本当にあるの
だろうかという疑問がわき起こった。この話だけ
は書きたくなかった。身内の恥を公表するような
ことはしたくなかった。
 しかし、戦争被害国である中国、韓国、シンガ
ポールなどから、いつまでたっても日本攻撃が止
まないのは、日本政府に責任がある。日本は他国
であるアジアの近隣諸国に勝手に出兵させたので
ある。それを侵略という。それを都合良く解釈し
て真摯に反省しないから、戦争被害国である近隣
諸国は怒るのである。歴代の大臣が、先の大戦に
関する発言で失脚したのか、改めて数え直すべき
ではなかろうか。
 靖国参拝を「他国は干渉すべきではない」(首
相発言。5月16日)。
 靖国参拝に対する中国の対応に対して、「内政
干渉だ」といってる人もいる、と発言して中国側
から猛反発されたと報じられた(訪中時の自民党
幹事長発言)読売新聞(5月24日付)。
 これらの発言は、戦争被害国からすれば許され
ざるものであろう。戦争加害を無視した無神経な
発言だからである。
 ところで、先の大戦を誤りだったと思っている
仏教僧侶は少数派である。中には「靖国神社のど
こが悪いのか」と堂々と発言する僧侶までいる。
そういう僧侶に聞きたい。「殺すな、殺させるな
」という仏教の戒律は間違いなのか、と。このよ
うに、仏教僧侶として闊歩しているが、仏教の根
本信仰を何ら持たない僧侶が多数をしめている現
実は嘆かわしい。
 仏教で殺生を認める例外事項は二つ。一つは、
他国が侵略した時に、撃退する場合。いま一つは、
善良な市民を人質として取り、そのうちの何人か
が殺され、残りの人質の生命が危険にさらされた
時である。
 中国の呉副首相の突然の帰国は、経済界にも飛
び火する可能性が出てきた。なぜなら、呉副首相
の突然の帰国は「外交上、失礼なこと」、と経済
同友会の代表幹事が批判しているからである。
 中国は「失礼」を承知の上で、小泉首相との会
談をキャンセルしたのであろう。大国中国を甘く
みていると、大変なことになるであろう。




戦争の被害者意識と加害者意識

2004-11-25 02:05:32 | 戦争の加害者責任と被害者意識
 
中国の胡錦梼国家主席が、「靖国神社に来年は参拝しないように」と、
小泉首相に要求した。チリのサンティアゴでのAPECの日中首脳会
談でのことである。
 なぜ、いつまでも靖国参拝が問題となるのであろうか。その答えは
簡単である。日本の政権諸政党や国民の多くが、先の太平洋戦争を悪
いと思っていないからである。ましてや「先の大戦は侵略戦争ではな
かった」、という教科書問題が火に油を注いでいる。いわば日本の開
き直りである。
 一方の戦争被害国である中国などは、自国民の悲惨な虐殺の思い出
を、いつまでも忘れることができないからである。さらに教科書問題
まで出るに至っては、日本に対する憎しみと不信感が倍増されている
のであろう。
 日本人は先の大戦を冷静に分析すべきである。中国や朝鮮が日本に
攻めて来たのではない。日本軍が勝手に中国に行ったのである。それを
侵略という。こんな簡単なことが、なぜ日本人は分からないのであろ
うか。それとも分からない振りをしているだけなのだろうか。この一
事を見れば分かるように、明らかに日本には加害者としての戦争責任
がある。また、中国が被害者意識を持つのは当然であろう。
 小泉首相は「二度と戦争をしないために靖国に参拝している」とい
っている。しかし、中国側から見れば詭弁に聞こえるだろう。それな
らば「人道復興支援」と称して、なぜ日本はイラクに自衛隊を派兵し
ているのか。復興支援なら日本の民間人が行けばいいではないか、と
いう論理になる。だから詭弁というのである。首相の発言は「言い訳
」にすぎない。そんなことは国際的に通づる論理ではない。小泉首相
は、はっきりと「米国に協力するために自衛隊を行かせているんだ」
と言うべきである。イラク派兵も中国などが警戒する一因になってい
るのかも知れない。
 日本は結局、イラクなどの世界的なテロ組織の攻撃対象になる。自
衛隊員ばかりでなく、一般日本人もテロの標的になることをも意味し
ている。首相というのは、自衛隊員の命を守る義務があるのではない
のか。一般国民をテロの標的にさらすことを避ける義務があるのでは
ないのか。まさか、自分の子供に自衛隊員はいないから、イラクに行
かせるというのではないだろう。
 「国際紛争は武力で解決しない」という、世界に誇る平和憲法を日
本は持っている。このことをテロ組織も知っているようである。だか
らこそ日本への憎しみは倍加されるのではないのか。
 いずれにしても現在の日本は好戦国家の道を歩んでいる。非常に残
念なことである。
 ましてや最大野党の民主党にも期待できない。岡田党首は憲法九条
の改悪を公言している。何を考えているのだろうか。自民党と同じよ
うな考え方をする政党政治を二大政党政治というのであれば、それを
歓迎する理由はない。
 小泉首相は、中国などの諸外国からも理解してもらえるような、慰
霊方法を検討する、と公言した。しかし、現在は自然消滅の状態にか
こつけて逃げている。言行不一致である。
 政治家たるものは、自分の利益や、保身のために政治をするべきで
はない。日本の政治家は平和憲法を持つているだけに、世界のオピニ
オン・リ-ダ-となってほしい。偉大な政治が日本から出るはずであ
る。その前に、アジアの近隣諸国から納得してもらえる施策を実行す
ることである。
 「殺すな、殺させるな」という法句経の言葉を想起してほしい。