今回の衆議院選の争点の一つに景気対策がある。具体的
には、消費税の増税問題が論議されている。民主、自民、公
明の三党合意で法案は成立した。しかし、増税と景気浮揚と
相反するのではないか、という議論である。年金・福祉と消費
税の一体改革という論理には無理がある。増税分は年金など
の福祉に全額使う、と野田首相は再三云っているが、そんなこ
とは有り得ない。増税分は、全体の国家予算に組み込まれるか
らである。一体改革というのは、増税に対する言い訳に過ぎない。
いわば詭弁である。
また、現在のような東北大震災などで家屋を失った人もいる。
さらに不景気の真っ只中である。このような時に増税を課すのは
適当でないのではあるまいか。さらなる底冷えになるからである。
一方、増税によって充当される災害復興費が、災害と関係のない
地や、事業などに使われている。これでは内閣の体をなしていな
いと批判されても仕方ないであろう。
昨日発表された「日本維新の会」の公約の一つに、「消費税は地
方税化し、一部は地方共有税として地域間の財政調整に充てる」とし
ている。課税や税額などのすべての権限を都道府県に移譲せよ、とい
うものである。しかし、これは明らかに豊かな大阪府と市のエゴである。
豊かでない県などは、決してこのようなことは云わないであろう。そん
なことをすれば、地域間格差が増大するだけである。「地域間の財政調整
」を各都道府県がするというのは適当ではない。馬鹿げたエゴである。
もしも、橋本徹氏が将来首相になるとすれば、消費税は国がするべきだ、
と云うはずでる。現行どおり国が消費税などの権限をもつべきである。そ
して、地方交付税を適切に配当すべきである。
自民党の安倍総裁は、「金融緩和」すれば景気はよくなると云っている。
緩和しただけで景気が上向くはずがない。また、国の起債はすべて日銀が
引き受けよ、貨幣は輪転機でどんどん印刷せよ、とも云っている。そんなこと
をしたら、アンパン一個3,000円くらいになるだろう。南米のどこかの国のよ
うになるだろう。安倍氏は経済の基本をしっているはずである。そういう発言
はおかしい。野僧はかって、衆議院の「首都機能移転審議委員会」の委員長
あてに、「那須に移転して、内需拡大し、景気を浮揚させるべきだ」、というメー
ルを送ったことがある。そのとき、小泉首相は、ブラサガリで「今はそんな時期
ではない」、とコメントしているテレビを見たことがある。安部氏は公共事業を拡
大すると云っているが、公共事業費が削減されたのは小泉首相の自民党時代
からである。景気浮揚は、内需拡大によらなければ実現できない。それが基本
だと考える。輸出が増大すれば、より一層の浮揚となることに間違いはない。
現在の不景気は、派遣社員制度が出てからのことである。ボーナスをもらえ
ない派遣社員の夫婦では、経済的な自立はできない。派遣社員によって大企業
などは大もうけした。しかし、派遣社員にしかなれない貧困家庭が増え、自動的
に購買力が落ちてしまった。その結果、大企業の製品が売れなくなった。結局、
天にツバすることになったのである。これが不況の根源である。このような格差
社会の是正こそ各政党に期待されているのである。内需拡大の一つとして、東
北大震災の復興を急ぐべきであろう。国民は冷静に判断して投票の際の判断
材料とすべきではなかろうか。
消費税の増税は凍結するか、廃止すべきである。